ヒート

終盤の7分間を29-8と圧倒

ヒートの3勝2敗で迎えた、セルティックスとの東カンファレンスファイナル第6戦。バム・アデバヨら若手が躍動し、最終クォーターに29-8のランで一気に流れをつかんだヒートが125-113で制し、6年ぶりのNBAファイナル進出を決めた。

開始約4分、互いにフィールドゴールが1本ずつしか決まらない固い立ち上がりとなったが、ハンドラーのジミー・バトラーがパスを散らしつつ、自らもミドルシュートを沈めていったヒートが先行する。合わせから、バム・アデバヨがインサイドで得点を重ね、アンドレ・イグダーラが2本の3ポイントシュートを沈めるなど、ベンチメンバーも活躍しバランスの良いオフェンスを見せた。

セルティックスはジェイソン・テイタムに当たりが来ず、最大7点のビハインドを背負ったが、マーカス・スマートやジェイレン・ブラウンの3ポイントシュートで食らいつく。第2クォーターに入り、テイタムがこの日最初のフィールドゴール成功となる3ポイントシュートを沈める。シュートタッチを取り戻したテイタムがこのクォーターだけで12得点を挙げ、さらに前半で8アシストも記録するなど、エースがオフェンスの中心を担ったセルティックスが反撃し2点差まで迫った。

その後、ヒートはゾーンディフェンスが機能し、イグダーラが2本連続で3ポイントシュートを沈めるなど8点のリードを奪った。2桁得点差にするチャンスだったが、セルティックスもケンバ・ウォーカーやジェイレン・ブラウンが個の力で打開し、流れを完全には渡さず一進一退の攻防が続く。

勝負の第4クォーター、我慢の時間が続いたセルティックスが最初に流れをつかむ。ボールマンへのプレッシャーを強め、ブラウンがタイラー・ヒーローからスティールするなど、ターンオーバーを速攻に繋げたセルティックスが開始3分で10-2と走り、この日最大となる6点のリードを奪った。

だが、このタイミングでタイムアウトを取ったヒートが怒涛の反撃を見せる。本来であれば、ゴラン・ドラギッチやバトラーにボールを託すエースの時間帯だったが、強心臓の若手、タイラー・ヒーローが違いを生んだ。自分のターンオーバーから速攻を許すなど相手に付け入る隙を与えていたヒーローだったが、物怖じすることなく5連続得点を挙げて、悪い流れを断ち切った。

また、ハンドオフなどでオフェンスの起点になっていたアデバヨが自ら仕掛け、豪快なダンクに3点プレーとなるミドルシュートを沈めて逆転に成功する。さらにアデバヨはオフェンスリバウンドに絡み、ダニエル・タイスからルーズボールファウルを誘発し、ファウルアウトに追いやる。アデバヨが弱体化したインサイドを狙うことで外のマークが甘くなり、ダンカン・ロビンソンが3ポイントシュートを射抜き、リードを広げていった。

悪い流れを止めたいセルティックスだったが、センターのタイスが退場となったことで起点となる選手がいなくなり、ズレを生むことができない。ただのパス交換ではリズムが生まれず、外一辺倒となった3ポイントシュートはことごとくリングに弾かれた。

アデバヨにマークが集中した瞬間にバトラーが合わせるなど、攻守が噛み合ったヒートがタイムアウト後の約7分間を29-8と圧倒し勝利を収めた。

ヒートはアデバヨがゲームハイの32得点14リバウンドとインサイドを制圧。ロビンソンが5本の3ポイントシュートを沈め、ヒーローも19得点を挙げるなど、若手の活躍がチームを救った。6年ぶりに東カンファレンスを制したヒートは、ナゲッツを4勝1敗で下したレイカーズとファイナルで激突する。