文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

ファジーカスが無双、相手のエースを攻守に圧倒

ワールドカップアジア1次予選の最終戦、日本代表はチャイニーズ・タイペイとの直接対決を制して通算成績を2勝4敗とし、2次予選進出を決めた。アジア最強のオーストラリアを接戦の末に撃破した日本にとって、チャイニーズ・タイペイは相手ではなかった。序盤から攻守に圧倒、一度もビハインドを背負うことなく、早々に勝負を決めてしまった。

スタメンは先のオーストラリア戦と同じく、富樫勇樹、比江島慎、田中大貴、八村塁、ニック・ファジーカス。日本の軸となったのはファジーカスだ。2月の試合で日本代表を大いに苦しめたチャイニーズ・タイペイの帰化選手、クインシー・デイビスを圧倒。攻めでも守りでもマッチアップを制し、得点を重ねるとともにリバウンドも与えない。またファジーカスは視野の広さを生かし、ディフェンスリバウンドを奪うと速攻の起点となる選手へと的確にボールを預け、走る展開を演出した。また『日本のエース』比江島も序盤から積極的なアタックから得点を重ねる比江島タイム発動で、開始5分半で20-4と日本に流れを呼び込んだ。

積極性が裏目に出る場面もあってターンオーバーはかさんだが、それでも速攻からのイージーな失点を最小限に抑えて優位を保ち続ける。チャイニーズ・タイペイの反撃を浴びて23-15と8点差まで詰め寄られるも、ファジーカスがスピンムーブから柔らかいシュートを決めて相手の流れを断ち切ると、比江島がリバウンドからそのまま走り、フローターのバンクショットで突き放す。チャイニーズ・タイペイからすれば、反撃の流れを作ったところでアジアレベルを超えた個人技を連発される理不尽な展開となった。

勝負どころを見逃さず、20点のリードをキープ

27-15で迎えた第2クォーター、ファジーカスがベンチで休んでいる時間帯も、馬場雄大のダンク、八村塁のブロックショットから田中大貴のトランジションスリーと派手に暴れ回る。また竹内譲次のファウルトラブルで投入された太田敦也が奮起。クインシー・デイビス相手のディフェンスだけでなくゴール下にパスを呼び込み得点を挙げるなど、ファジーカスとのツインタワーが機能。選手もボールもよく動き、フィジカルでも上回る日本が47-28で前半を折り返す。

後半立ち上がり、ここから離されると厳しいチャイニーズ・タイペイはエナジー全開。それでも日本はその勢いに押されながらも踏みとどまり、富樫の崩しからファジーカスがオープンの3ポイントシュートを沈め、続くファジーカスの3ポイントシュートは外れるもルーズボールを田中が拾って比江島のイージーシュートにつなげる。

チャイニーズ・タイペイは激しいプレーで流れを変えようとするのだが、激しさを出すだけに雑になる部分を日本は見逃さない。馬場が左のコーナーからドライブで仕掛けてリバースレイアップを沈めて69-49。全力を出しても点差を縮められないチャイニーズ・タイペイはたまらずタイムアウトを取るが、再開後は富樫の3ポイントシュートが連続で当たり、もはや立て直すのは困難だった。

フィールドゴール率65%と高確率、難敵を一蹴

77-55で始まった最終クォーター、篠山竜青が前から激しいプレッシャーディフェンスを仕掛けて、ギアを上げたいチャイニーズ・タイペイを勢い付かせない。アーリーオフェンスから比江島がオープンのチャンスを作り出すと、ファジーカスが逃さず3ポイントシュートを沈め、再び比江島のファストブレイクから今度はフォローに走った八村へ展開。八村はリング下を守る2人の間に割って入りバスケット・カウントをもぎ取る3点プレーを決める。

さらに八村は直後のオフェンスでターンアラウンド・フェイダウェイを決め、再びファストブレイクから比江島の3ポイントシュートが決まって88-57。目の前でNBA級のパフォーマンスを見せ付けることでチャイニーズ・タイペイの士気を断ち切ると、残り7分半という長い時間がガベージタイムに。

最終スコアは108-68、想定を上回る完勝劇で日本代表は1次予選を締め、2勝4敗で2次予選進出を決めた。ファジーカスは大差を付けた終盤にプレーしなかったにもかかわらず32得点11リバウンドと突出した数字。また比江島はフィールドゴール8本中7本成功の17得点、6アシスト5スティールとこちらも突出したスタッツを残した。

チームとしてもフィールドゴール率65%と高確率。一方でチャイニーズ・タイペイは追い付くためにギャンブル的なシュートを打たざるを得なかったにせよ36.2%と低調だった。アシストも28-9と圧倒し、日本がボールをよく回し、イージーシュートの機会を作り出していたことを示している。指揮官フリオ・ラマスは「ゲームプランは2月のホームゲームのものと似ている。ただ、今日はその時と比べてかなりよく遂行できた」とご満悦。

0勝4敗の『崖っぷち』から逆転で1次予選突破を決めた日本代表。おそらくこの夏もチーム強化に注力し、秋から始まる2次予選に備えることになる。