キャリア10年のビッグマンは故郷ヒューストンへ?
2017-18シーズンも終わり、NBAの話題はレブロン・ジェームズの去就でもちきりだ。しかし、レブロン以外にも注目を集めるフリーエージェント選手は多い。それだけに、今夏の移籍市場はここ数年で最も賑わいを見せると言われている。
NBAキャリア10年のベテラン、ディアンドレ・ジョーダンも、レブロンと同様にフリーエージェントになる権利を保持している。大方の予想では、プレーヤーオプションを行使し来シーズンの契約を破棄するとされている。気になる移籍先候補に挙がるのはロケッツだ。
ヒューストン出身のジョーダンにとって、ロケッツは特別な存在だ。ましてや今はジェームズ・ハーデンが中心のチームで、『打倒ウォリアーズ』の最先鋒。2018年のプレーオフでは王者ウォリアーズを唯一追い詰め、あらためてチームの力を証明したばかり。もしフリーエージェントになるクリス・ポールが再契約を結べば、ハーデンとのデュオが今後数シーズンは続くことになる。そこに1試合20得点、20リバウンドが可能なジョーダンが加われば、強力な『ビッグ3』が誕生する。ハーデン&ポール中心のロスターをアップグレードさせるには、一番手っ取り早い方法と言えるかもしれない。
ただ、ロケッツがジョーダン獲得に関心を示しても、越えなければならない障壁も出てくる。同じセンターには、来シーズンが5年目のクリント・カペラがいるからだ。カペラは昨シーズン中に最も成長した選手に贈られるMIP賞の最終候補に選出された選手で、今夏は制限付きフリーエージェントになる。プレーオフでは経験不足を露呈した面もあったが、ロケッツが生え抜きのビッグマンを簡単に放出するとは考えにくい。
ジョーダンがロケッツに移籍すると仮定した場合、ロケッツとクリッパーズにとって金銭的に理想的な形は、1年前のポールと同様にジョーダンがプレーヤーオプションを行使せず、カペラを含むサイン&トレードを成立させる案。しかしこれも現実的なオプションとは言い難い。まだ伸びしろがあり、ジョーダンより6歳も若いカペラをロケッツが手放す姿が想像できないからだ。
キャップスペースだけで考えるなら、レイカーズも魅力的な選択肢になる。昨シーズンの先発センターを務めたブルック・ロペスがフリーエージェントになるため、彼らもその後釜を探しているはず。また、レイカーズが本気でレブロン獲得に動くのであれば、ジョーダン級の実力者をロスターに加えて『勝てるチーム』作りを推し進めなければならない。ジョーダンにとってもロサンゼルスは『第二の故郷』のようなもので、名門レイカーズからラブコールを受ければ、気持ちも揺らぐことになりそうだ。
ロケッツ、レイカーズへの移籍、クリッパーズ残留という選択肢以外にも、これからあらゆるシナリオが浮上するはず。レブロンほどの影響力はないにしても、ジョーダンの去就もまた、来シーズンの勢力図に変化を与える一つの要因となる。