合田怜

昨シーズンの大阪エヴェッサは帰化選手のアイラ・ブラウンを3番で起用し、その強みをスピーディーなバスケで最大限に引き出して26勝15敗と好成績を残した。主力を残しつつ、今オフは海外でプレーしていた若手選手を多く獲得し、新キャプテンに合田怜を据えた。初のチャンピオンシップ進出を「最低限の目標」と豪語する合田に新シーズンを迎える胸中を聞いた。

キャプテン就任に「しっかりしている部分が見えてしまった」

──プレシーズンゲームも始まりましたが、合田選手は出場していなかったですよね。まだ出番ではないということですか?

それもあるんですけど(笑)、昨シーズンの肩のケガのリハビリがまだ完全に終わっていないんです。2週間くらい前からコンタクトの練習をするようになって、まだ5対5はやっていません。開幕までにどこまで戻るかみたいなところです。

コアメンバーは去年からやっているので不安はないですが、新しく入ってきた若い選手たちがまだ完全にフィットできていないので、そこをどうすり合わせていくかというところです。

──海外でプレーしていた若手選手が多く加入しましたが、その中でキャプテンとなり大変ではないですか?

純日本人選手が少ない中でやるとは思ってなかったので、やはり大変ですね。

──勝手なイメージですが、ムードメーカータイプの選手がキャプテンをやることは少ないと思います。

そうですよね。僕もまさか回ってくるとは思ってなかったです。ただ、おもしろさの中にしっかりしている部分が見えてしまったのかなと(笑)。

一回はやりたいと思っていたので、せっかく指名していただいたので精一杯やります。指示をバンバン出すのは好きじゃなく、一人ひとりに何かしろとは言いたくないので、みんながノビノビやれる環境を僕が作れたらと思っています。

──ちなみにエイプリルフール用に作ったという『餃子一億円分で契約』の動画を拝見しましたがややバズってましたね。ツイッターの名前も合田から餃田に変えていますが、キャラは定着しましたか?

チーム内では言われないですけど、他のチームから最近よく言われますね。一回ツイッターの名前を戻したら広報に怒られました。ふざけすぎと思われてもあれなんで、ユルイ時は餃田でいこうと思っています。

──プロとしてそういったコート外での活動も大事ですよね。

そうですね。楽しめるタイプなので、プレーでもこうした活動でも盛り上げていけたらと思っています。

合田怜

経験を積み、リーグ屈指のボールハンドラーに

──昨シーズンは試合を決定付けるシーンでシュートを決めるなど飛躍のシーズンになったと思います。チームの中核を担う存在になったという自負はありますか?

コーチが何を求めているかということを理解していたつもりなので、そこらへんの信頼関係はチームの中でも上のほうにいると思います。1年1年、新しい何かを積み上げてきた自負があるので、それで自分のできることが増えてきたというか、表に出せるようになってきました。

──以前との違いは具体的にどのようなところでしょうか?

大学までは周りをコントロールするタイプではなく、シュートが得意で点を取りにいくタイプでした。なので、ポイントガードがそんなに得意ではなかったです。エヴェッサに来て控えのポイントガードをしていたんですけど、その中で得た経験がコンボガードとして出るようになった時に良い方向に働いたというか。何を自分の武器にしていくかというので迷っていた部分もありましたが、純粋なポイントガードと一緒に出てもポイントガードのような仕事ができるようになって、視野が広がったというのは感じています。

──2年連続で3ポイントシュートの成功率が40%を超えていますが、以前「自分はシューターではない」と話していました。一番の強みはどこになりますか?

ピック&ロールを得意としています。バックアップのポイントガードもしつつ、2番もしつつという状況で、ボールを扱うことは多いのでボールハンドラーですね。コーチからももっとピック&ロールを使えと言われていたので、それが僕の武器ですね。

シュートも武器の一つではあって決めれる自信はあります。ただ、無理して打つタイプではなく良いところで打たせてもらっているなと。ブワーと走ってボールをもらって、俺に打たせろって感じの人がシューターだと思っていて、僕は空いたら「ありがとうございます」みたいな感じで打たせてもらってるんで(笑)。

合田怜

「関東圏のチームには負けたくない」

──昨シーズンはチャンピオンシップに手が届く位置にいましたが、過去4シーズンいまだにチャンピオンシップ進出を果たしていません。あともう一つ、何が足りないと思いますか?

今まで足りていなかったモノとして、東地区の相手に結果的に引いてしまった事実があります。ただ、アイラが入ったことによって勝つメンタルが全体に浸透し、昨シーズンはほぼ互角に東地区の強豪と戦えてました。

ディフェンスの圧力が全然違っていて、相手に何かされた時の手札が少ないというか。以前はその強度に慣れていなかったり、練習が足りていなかったと思います。メンタルの部分はやはり大きくて、僕もポイントガードに自信が持てなくて、それで引いてしまったこともあったと思います。

──自信を手にして新シーズンを迎えることになります。選手としてここまで順調にステップアップしてきて、キャプテンとして迎える来シーズンをどのようなものにしたいですか?

チームとしては確実に昨シーズン以上の勝率を残したいですし、出せるチームやとも思っています。個人としては、2年連続でケガをしてしまって、今はケガをしない身体作りをしているので、出た試合では必ず結果を残したいと思っています。

──ケガは不可抗力な部分もあるかと思います。身体の変化は感じますか?

年々フィジカルも上げていこうとしていますが、思うように筋肉がついてくれずそんなに変わらないですね。大学の時からケガが多いのですが、持って生まれたモノがアスリートじゃないと思っています。

──確かにこのプロの世界で身体能力や体格面では決して突出していないですね。でも、その中で活躍できるのはすごいことかと思いますが。

そうなんです。だからもうちょっと褒めてください。身体が強い奴らがアホみたいにいるんで(笑)。

──自然体でプレーしているように見えますが、反骨心のようなモノはありますか?

生まれも育ちも大阪なので、東京の人に負けたくないっていうのはあります。小さい頃から親父も阪神ファンだったので、阪神対巨人的なのがあるんでしょうね。ただただ。結構大阪の人は多いと思いますよ、東京のヤツには負けるなみたいな。関東圏のチームには負けたくないですね。

──東地区のチームとの対戦はいろんな意味で注目ですね。では最後に新シーズンへの意気込みをファンの皆さんにお願いします。

西地区で優勝してチャンピオンシップに出ることが最低限の目標というか、ノルマだと思っています。東のチームを食っていきたいです。個人としてはキャプテンということで、 チームの皆を包み込むようなリーダーシップと、アツアツのガッツあふれるプレーを発揮していきます。餃子のように頑張ります!