Bリーグが若手を対象にしたトライアウトを実施、プロ選手の登竜門として期待大

2018/06/02
Bリーグ&国内
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文=丸山素行

プロ志望の若者とクラブを結び付ける機会に

6月1日、Bリーグは大田区総合体育館でトライアウトを実施した。来シーズンに向けた選手の挑戦の機会および選手獲得の機会を創出することを目的としており、180人の応募の中から書類選考で100名が参加の資格を得た。ケガのため参加を見合わせた選手、この日までに契約が決まった選手もいて、実際に参加したのは86名となった。

午前はNBAのドラフトコンバインを参考にしたファンダメンタルテストを実施。基礎体力や敏捷性、跳躍力のデータを取り、参加者の身体能力を数値化していった。跳躍力を測るテストでは測定する装置の上をいく選手が現れたり、軽々とリングにぶら下がるなど全体的に高い身体能力を持った選手が目立った。だがそうした選手の中には手元の技術が乏しかったり、体力がないケースも。そうした総合力を加味し、ファンダメンタルテストで12名の選手が落とされた。

午後には大河正明チェアマンが会場に駆け付け、参加者に向けこのようにエールを送った。「皆さん若い人にチャレンジしてもらって、プロになれるチャンスがある。もし今日なれなくても、指導者になるとか、審判になるとかいろいろな意味でバスケットに関わる人がバスケットで飯を食える、そういう時代に一つひとつなっていっています。失敗を恐れずにチャレンジをすること。悔いのないように思い切ってやってください。人生はBリーグの決勝みたいに一発勝負になるであろうと思う。人生っていろんな意味で、今までの一発勝負ですよ。この一回で勝ち取れるかどうかということがこれから長い人生、色々起きてくると思うので、今日もそういう意味でいい経験だと思います。楽しんでください、期待しています」

コーチ育成の場としての側面「貴重な機会」

午後からは合格した74名を14チームに分け、実戦形式のスクリメージが行われた。Bリーグは当初からコーチの育成も視野に入れており、度々『コーチングセッション』を開催してきた。今回もそうしたコーチの育成といった目的も併せ持ち、コーチ志望者がこの14チームの指揮を執った。コーチ業の勉強の一つとして参加した中学校の教員は「10年くらい前だったら教員にこういう機会はなかった。大変貴重だし、ありがたい」と語った。

最初はトライアウトとあって、自らをアピールしたいがため個人プレーに走る選手も多々見られた。だが次第にピック&ロールやディフェンスローテーションなど、選手とコーチがコミュニケーションを取り合ったことで一つのチームとして機能し始めていった。

1対1のディフェンス力やシュート力、身体能力を生かしたプレー、そして声を出しチームを鼓舞するリーダーシップなど、選手達はそれぞれ自分の強みをアピールしていった。スクリメージの最後は74名から20名に選抜された4チームで行われ、トライアウトは終了した。

トライアウトに見る「リーグの価値が上がってきた」実感

20名に残った選手の中には、先日レバンガ北海道の契約が満了になった田原隆徳の姿があった。参加者の中で唯一昨シーズンB1でプレーした田原は参加の理由をこう語った。「北海道であまり試合に出てなくて、どうなるにせよ行った方が自分の力を試せる。お前だったら行けると折茂(武彦)さんが後押ししてくれた」

持ち味のディフェンス力は参加者の中でも特に目立っていた。「絶対ディフェンスです。オフェンスでどうにかしようとしても、1対1ばかりでみんな空回りしているじゃないですか。そうじゃなくてディフェンスで自分たちで引き上げていくのが大事ですよね。そういう泥臭いところとかが持ち味なので」

「いつかレバンガと対戦して勝って、『見たか』っていうのをやりたいです。それでレバンガが、『やっぱり田原来てくれ』と言われるように、それを目標にして頑張ります」と成長してB1に戻りたいと意気込んだ。

トライアウトを取り仕切る、Bリーグ強化育成部の塚本鋼平はこのように総括した。「今回はこれまでで一番レベルが高い。それは子供たちに対しBリーグが浸透し、挑戦したい場に少しずつ変化してきたなと感じます。人生を賭ける一発勝負というところで、自分がプロになりたいことをPRする。死ぬ気でなんでもやるっていうことをどれだけここの中で見せられるかというのが一つのポイントです。去年も『B.DREAM』ではラスト20人に残らなくても契約に至った人もいます。だからチャンスはあるんです」

会場にはB1、B2のヘッドコーチやチーム関係者の姿が見られた。またBリーグだけでなく、地域リーグの関係者などバスケに携わる多くの人がトライアウトを見学した。実際に選手に声をかけている人も多く見られ、契約にいきつく可能性があることを証明していた。選手、チーム双方にメリットのあるトライアウト。これからもブラッシュアップを重ね、Bリーグ全体のレベルを高める一助となり、登竜門としてのポジションを確立していってほしい。