文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、野口岳彦

「ディフェンスがボディーブローのように効いていた」

アルバルク東京が、85-60で千葉ジェッツに完勝して終わったBリーグファイナル。現役のBリーガーは、どのように試合を見ていたのか。『スポナビライブ』の試合中継でゲスト解説を務めた比江島慎(シーホース三河)に話を聞いた。

「僕らの時もそうでしたけど、東京は40分間ディフェンスが徹底されていて、それに対して千葉は攻めあぐねていました。それがボディーブローのように効いていました」

60失点という数字が示すように、比江島もA東京の鉄壁ディフェンスを最大の勝因として称えている。また「やっぱり前半終了間際、ジャワッド・ウィリアムズの3ポイントシュートが相当に痛かったと思います」と強調した。

第2クォーター残り4秒、千葉はレオ・ライオンズがオフェンスリバウンドからねじ込んで33-40と点差を縮める。残り時間からいって、このままの点差で前半終了かと思われる状況で、ウィリアムズがハーフコートライン付近から放ったブーザービーターが決まり、これでリードを10点に広げた。「1桁と2桁で試合を折り返すのは大きく違います。千葉としては後半に向けて良い形で終わりたかったのに、あんな遠い位置から決められてしまいました」と比江島は振り返り、ウィリアムズの一撃はA東京にさらなる勢いを、千葉には大きなショックを与えたと見た。

A東京の試合巧者ぶり「素晴らしいゲーム運びでした」

さらに比江島が指摘したのはA東京の試合巧者ぶりだ。「千葉がリズムをつかみかけたところで、東京はうまく流れを渡さなかったですね。ルカ(パヴィチェビッチ)もタイムアウトを取って千葉に行きかけた流れを切ったりと、素晴らしいゲーム運びでした」

A東京を王者へと押し上げた最大の武器はどこか。やはり比江島が挙げたのはディフェンスだった。「一人ひとりのディフェンスの能力がリーグで一番高い。抜かれたとしてもしっかりヘルプができていて、ポジショニングも徹底されています。第1クォーターから第4クォーターまで万遍なく点を取っているなど、崩れないです」と堅守をベースにした安定ぶりを称えた。

ちなみに、解説者としての自身のパフォーマンスについては「手応えは少しだけあります。だいぶフォローしてもらっていて助かりました。でも、頑張ったほうかな……と思います」と語る。自己採点は100点満点で「30点から40点です」とのこと。試合中継の冒頭の「本当はファイナルはコートでプレーしたかったんですけど」という言葉は本音だろう。スーツ姿は似合っていたし、解説者としても回数を重ねるごとに良くなっていくだろうが、やはりファンが見たいのはコート上でユニフォームを着てプレーする姿だ。来るべき新シーズンも比江島には『主役』を演じてもらいたい。