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「目の前の状況を乗り越えようとしているだけ」

負ければシーズン終了、4年連続のNBAファイナル進出の道が閉ざされる中、レブロン・ジェームズが再び現役ベストプレーヤーとしての意地を見せた。

キャバリアーズの本拠地クイックン・ローンズ・アリーナで行われた東カンファレンス・ファイナル第6戦、キャブズはレブロンが46分の出場で46得点11リバウンド9アシスト3ブロックの活躍でチームを牽引。キャブズが109-99で勝利し、対戦成績を3勝3敗に戻した。

崖っぷちに追い詰められたキャブズは、第1クォーター序盤にケビン・ラブを失うアクシデントに見舞われる。ラブは、キャブズがポゼッションを保持した際、エルボー付近でアル・ホーフォード越しにスクリーンを張り、ジョージ・ヒルがレブロンのパスを受けるためインサイドからダッシュ。ここまでは良かったのだが、ヒルに離されまいと食らいついたジェイソン・テイタムがラブの側頭部に頭突きをするような形になり、ラブはダウン。しばらく動けない状態が続いた後、チームトレーナーとヒルの肩を借りてロッカールームへと戻り、コートに戻れなかった。

早々に主力の一人を失ったキャブズだったが、ラブが抜けてできた大きな穴を全員で埋める。ジェフ・グリーンが序盤からレブロンとのコンビネーションでアリウープを決めれば、ポイントガードのヒルも積極的にアタックし続け、徐々に点差を広げていく。

後半開始からミスが目立ち始めたセルティックスに対し、キャブズはジョーダン・クラークソン、ラリー・ナンスJrといった走れる選手でカウンターを繰り出し、第3クォーターには最大でリードを16点に拡大。それでも簡単には引き下がらないセルティックスは第4クォーターに入り点差を縮め始め、7点差の状態で試合終盤を迎える。そして拙攻が試合の流れを変える緊張感に満ちた中、違いを生んだのはやはり『キング』だった。

101-94で迎えた残り2分22秒、レブロンはガードについたテイタムをステップバックでかわしつつ、左ウィングから3ポイントシュートを成功。そして約40秒後にも、ほぼ同じ位置から3ポイントシュートを決めてリードを11点に広げ、粘るセルティックスにトドメを刺した。

レブロンは試合後、クラッチタイムに強い理由を聞かれると「まず、チームメートとコーチが試合終盤に自分にシュートを打たせてくれる。それだけの自信を持ってやらせてくれる彼らのおかげだ。あとは、子供の頃からやっているように、目の前の状況を乗り越えようとしているだけ」とコメント。4年連続のNBAファイナル進出が懸かる第7戦については「いつも言うことだけれど、『GAME SEVEN』という言葉はスポーツでベストな単語。自分たちは、この機会を楽しむべきだと思う」と語った。

今シリーズは、第1戦から第6戦までホームチームが勝利を収めてきた。第7戦はセルティックスの本拠地、TDガーデンで行なわれる。セルティックスは今シーズンのプレーオフでホーム無敗を続けているため、普通に考えれば彼らが圧倒的に有利だ。しかし『GAME SEVEN』は経験がモノを言う。キャブズは今までどのチームも果たせていなかった、NBAファイナルでの1勝3敗からの大逆転優勝を、王者ウォリアーズを相手に2年前やってのけたチームだ。その時とメンバーは異なるものの、レブロンは選手として進化し続けている。ラブが出場できるかは微妙かもしれないが、キャブズは死にもの狂いでセルティックスに向かっていくだろう。

そのキャブズをホームで迎え撃つセルティックスには、ケガ人多数ながらもここまで勝ち上がってきた勢いがあり、知将ブラッド・スティーブンズの頭脳がある。さらに若い彼らはこのプレーオフの最中にもレベルアップしているし、地元ファンの声援という武器が増える。

両チームともに肉体の疲労が限界を迎えつつある中、果たして最後に笑うのはどちらになるのか。27日の『GAME SEVEN』も、NBA史に残る激闘になることを期待したい。