連日の延長戦を制したアルバルク東京、怒涛の『比江島タイム』に屈せず競り勝つ

2018/05/20
Bリーグ&国内
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文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

完璧なディフェンスで三河自慢のオフェンスを封じる

シーホース三河とアルバルク東京のチャンピオンシップ・セミファイナル。昨日の初戦に続いてオーバータイムにもつれる激闘をA東京が制し、結果的に連勝でファイナルへ駒を進めた。

A東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチが「ゲームプランどおり、ウチはディフェンスが武器なので、激しいディフェンスからターンオーバーを誘う。リバウンドを取って走るのがセオリー」と語ったように、A東京の堅守は試合を通じて機能した。前日に続き、桜木ジェイアールを竹内譲次がマッチアップで抑え込む。リーグNo.1の破壊力を誇る三河のオフェンス力だが、桜木のローポストからの展開が基本。桜木をペイントエリアから締め出し、ポストに入れるパスを入れさせないことで、ポストプレーの形を徹底して作らせなかった。オン・ザ・コート「1」の第1クォーターと第3クォーター、三河の得点は12、13と伸びず。桜木自身の得点が2に終わったこと以上に、基本となる攻めの形を作れなかったのが響いた。

第1戦でオーバータイムの末に走り負けていた三河は金丸晃輔とアイザック・バッツをベンチに回した。先発起用されたコートニー・シムズの得点で三河が先行するが、やはり桜木が機能しないとオフェンスに勢いが出ない。両チームともに早めにポイントガードを後退させるが、三河の狩俣昌也が24秒バイオレーションとハンドリングミスで2度攻撃機会を潰したのに対し、小島元基がフリーを逃さず3ポイントシュートを決め、続けてアレックス・カークとのピック&ロールで13-0のランを締め、第1クォーターからA東京が21-12とリードを奪った。

『比江島タイム』が発動、A東京を追い詰める延長戦に

その後はA東京の10点前後のリードで膠着する。前半終了間際に田中大貴がハムストリングを痛めてヒヤリとさせたが、後半に入ると田中を中心とするA東京の攻めはむしろテンポを上げた。三河のディフェンスの足が止まったところを見逃さず、鋭いカットへの合わせ、ドライブで得点を重ねる。守備では相変わらず桜木に自由を与えず、三河のもう一つの武器であるアーリーオフェンスもそれ以上に早く戻ることで機会を与えない。三河は強引に攻め立てるが、A東京はうまく守って速攻に転じることでリードを守り続けた。

第4クォーターのオフィシャルタイムアウトの時点で50-60と三河がビハインド。それでもこの窮地に『比江島タイム』が発動する。残り4分、比江島は自らのアタックでファウルを誘発。A東京のチームファウルが5に達すると、ここから手の付けられない暴れっぷりを見せた。

「自分の中で第4クォーターが勝負だと思って温存していた。負けたら終わりの意識もあった」と語る比江島。田中に抜かれかかるも背後から手を伸ばすスティールから速攻に転じ、ディフェンスの注意を引き付けてフリーのシムズのダンクシュートにつなぐと、今度は自らのドライブからつないだバッツがバスケット・カウントをもぎ取る3点プレーで61-64と詰め寄る。残り30秒で訪れた最後のチャンス、比江島はシンプルなスクリーンププレーから迷わず3ポイントシュートをねじ込み、64-64の同点とした。残った10秒も、比江島は田中にシュートを打たせず、前日に続いて決着は延長に持ち越されることとなった。

「自分たちの展開に引き戻す強い気持ちがあった」

その延長戦、A東京は安藤誓哉を温存。田中もビハインドの場面でベンチに下げた。第3戦を見据えた起用法だったが、それでも5分間の戦いを制したのはA東京だった。第4クォーターから流れは完全に三河。しかも4点のビハインドを背負うも動じることなく、セカンドユニットの小島と馬場が先発に劣らないプレーを披露して逆転に持っていった。

71-73と2点ビハインドの状況で三河最後のチャンス。当然のように比江島にボールが託される。「ここで決めようと思っていた」という比江島に対し、A東京のディフェンスは誰もチェックに行かない。だが、十分すぎる余裕が逆に災いしたのか、終盤に比江島がねじ込んできたどのシュートよりも簡単なシチュエーションの3ポイントシュートはリングに弾かれた。「入ったとは思ったんですけど、決めきれなかったです」。試合後の比江島はそう言ってうつむいた。

最終スコアは73-71。A東京のルカコーチは最後の比江島のシュートについて「混乱させたくてわざとガラ空きにした。私も選手の時に、あまりにもフリーだと混乱したから」とジョークを言ったが、実際は冗談ではない状況だった。「第4クォーターの最後はしっかりスイッチしてオープンにさせないべきだった。ラストはスイッチせずにワイドオープンにしたのはミス。外れたのは運もあった」と、最後の最後でシュートを外させたものが『運』であったことを認めた。

「昨日はビハイント、今日はリード。どちらもオーバータイムですが今日の反省は40分で勝ち切れなかったこと。それでも引きずらず切り替えて戦ったことで、オーバータイムにリードされても自分たちの展開に引き戻す強い気持ちがあった」とルカコーチは試合を振り返る。すべての手を尽くし、選手たちも全力を出し切っての延長戦、最後は『気持ち』の勝利だった。

ファイナルのカードはアルバルク東京と千葉ジェッツに決定。長きに渡るシーズンも、土曜の横浜アリーナで決着することになる。