文・写真=鈴木栄一

ディフェンスゲームから一転、千葉のオフェンスが爆発

5月19日、千葉ジェッツがホームの船橋アリーナで琉球ゴールデンキングスと対戦。ロースコアの前半を終えた後、第3クォーターに得意の走るバスケットで突き放した千葉が、そのまま74-61で押しきった。

第1クォーターはともに相手の守備を崩すことができず15-12の千葉リードと僅差で終える。第2クォーターも接戦は続くが、千葉はベンチスタートの原修太の奮闘などでリードを広げ、引き続き堅いディフェンスで琉球にタフショットを打たせて30-22とリードして試合を折り返す。

試合後、千葉の大野篤史ヘッドコーチは「ディフェンスのインテンシティが高かった。1週間準備してきたことを前半はほぼノーミスでやれました」と振り返ったように、千葉にとっては文句なしの前半だった。しかし、リーグNo.1の堅守を武器とする琉球にとっても30失点は自分たちの好むペースに持ち込んだといえ、我慢比べのままで終わった前半だった。

ところが、第3クォーターの立ち上がりに均衡が破れる。琉球の佐々宜央ヘッドコーチが、「後半のファーストプレーであのターンオーバーから始まるとキツいです。あんなターンオーバー、プロバスケットボールチームとしてやっちゃいけない」と悔やむように、琉球はいきなりミスをして、そこから千葉のギャビン・エドワーズに得点を決められる。

これで琉球はリズムを崩し、さらにターンオーバーを重ねる。そのチャンスを千葉が確実に得点へと結びつけた結果、後半開始から約2分半で千葉はリードを14点にまで広げた。このクォーターの最後、千葉は富樫勇樹が1対1から体勢を崩しながらもブザービーターを沈めて59-42。前半で30得点だったのが、このクォーターだけで29得点を挙げる大爆発。第4クォーターも大量リードに守られた千葉が、余裕を持って逃げ切り、ファイナル進出に王手をかけている。

富樫「今日のディフェンスをやれば必ず明日も勝てる」

千葉の大野ヘッドコーチは明日に向けて「ディフェンスすること、それだけです」と何よりも守備を強調。さらに「自分たちが60試合積み上げてきたもの、1週間、琉球さんに対して準備してきたことをコートに出すだけです」と今シーズン最後のホームゲームに向けて締めくくった。

また、勝利を決定づける第3クォーターのブーザービーターを含めた11得点に9アシストの富樫。そして、キャプテンの小野龍猛も、指揮官と同じく明日の第2戦に向けて何よりも守備にフォーカスする発言をしている。

「ディフェンスで、自分たちのルールをしっかり徹底できた。すごく良い気持ちの入った試合でした。今日のディフェンスをやれば必ず明日も勝てると思います」(富樫)。「自分たちのペースに持っていけるまで守備でしっかり我慢できました。明日も今日みたいなディフェンスをすることが重要で、そこから持ち味である走るバスケットをしていければ」(小野)

雪辱を期す岸本「今日以上にもっとリングに向かう」

敗戦という結果に加え、内容でも完敗と崖っぷちに立たされた琉球の岸本隆一は「自分たちのミスを見逃さない。隙を少しでも見せたら襲いかかるようなオフェンス力を感じました」と千葉の強さを語る。その上で明日は「ミスを気にしすぎると、リングに向かっていく気持ちが足りなくなりがちになるので、今日以上にもっとリングに向かうことを意識していきたい」と、より強い気持ちで戦うことが大切と語る。

佐々ヘッドコーチは、先週の名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの第1戦、第2戦に続き、これで3試合連続70点以下に終わったオフェンスについて「いかに良いショットで終われるか。今日の反省を生かして、少しでも良い判断ができるようにしていきたい」と立て直しへの鍵を語った。

このまま勢いに乗って千葉が2連勝でファイナルまで進むか。それとも琉球がひっくり返すのか。琉球にとっては、まず我慢比べで決して引かないことが不可欠となってくるはずだ。