埼玉県立久喜高

「当たり前のように体育館を使えていたことが当たり前じゃなかった」

前期大会は大網ロケッツMBCが25本で制した『全国学生フリースローチャレンジ』。8月17日から後期大会がスタートし、さっそく前期の1位と並ぶ25本を埼玉県立久喜高校が記録した。

久喜高は埼玉県でベスト4に入る強豪チームだ。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で地元開催の関東大会、そしてインターハイと軒並み大会が中止となった。久喜高も2月末から練習を含むすべての活動がストップし、生徒のモチベーションも下がりそうになっていたという。しかし、早川拓コーチは「コロナウイルスがあったからこそ、様々な経験もできた」とポジティブに語る。

「練習ができない期間はzoomを使って再開後に向けた戦術的なミーティングを行ったり、日本代表の髙田真希選手のオンライン企画に参加させてもらったりしていました。栄養士さんやトレーナーの方にも講演会をしていただきました。バスケットだけにならず、バスケットを通じていろいろなことを学んで成長してほしいです」

今回フリースローチャレンジに参加した3年生の山口美南さんはインターハイなどの中止を知った時は、「落ち込みましたし、3年生ということもあってこのまま引退になってしまうのかなと不安になりました」と語る。

それでも突然バスケットができなくなったことで「今までは当たり前のように体育館を使えていましたが、それが当たり前じゃなかったんだなと強く感じました。使えていたことにすごく感謝しないといけなかったんだなって」と気づきもあったという。

6月中旬からようやく練習を再開し、今回のフリースローチャレンジに挑戦するとなった時は「すごくワクワクしました」と振り返る。「少人数のグループに分かれて、仲間同士でも競えると思ったので、すごく楽しみな気持ちで挑みました。それに全国のいろいろなチームとの対戦で、他チームの映像を見て『これじゃまだ負けている』と士気も高まって、頑張ろうという気持ちになりました」

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今回は25本を記録したが、練習はせず一発勝負だった。25本を出した時は「めちゃくちゃうれしかったです」と語るが、普段とは違うフリースローで難しさもあったようだ。

「やっぱりいつもとは違う形でしたし、自分の1本1本が結構大きくて。良い緊張感の中でできましたけど、制限時間がある中でやると『急がなきゃ』というのがあってリズムが崩れたり、一人が急ぐとそれがチームに伝わって、みんなが急いでしまったのでそこが難しかったです」

一発勝負での好記録となったが、早川コーチは満足していない。「(三菱電機)コアラーズが28本を出したので、もう一回チャレンジさせようと思います(笑)。もしプロチームを上回ったら自信にも繋がります。今だからこそできることをたくさん経験させてあげたいですね」

こう語る早川コーチ対して、山口さんも「プロチームに挑みたいですし、自信もあります。次は30本超えます!」とやる気十分だ。

埼玉県はすでにウインターカップの地区予選も始まっていて、シード校の久喜高も9月から参戦する。山口さんも県大会に向けてこう意気込みを語った。「まずは県大会で1位を取ることが最優先です。それからウインターカップに出て、今までこのチームで頑張って来たので、みんなで日本一を目指して勝ち進んで行きたいです」