エンビードは奮闘するもプレーオフ最初の2試合で『崖っぷち』、戦術対応力に劣るシクサーズの挽回の一手は?

エンビードは奮闘するもプレーオフ最初の2試合で『崖っぷち』、戦術対応力に劣るシクサーズの挽回の一手は?

2020/08/21
ジョエル・エンビード

エンビードを疲弊させる戦い方を徹底するセルティックス

ジョエル・エンビードが孤軍奮闘したものの、好調のジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンのアタックを止められずに連敗を喫したシクサーズ。それはシリーズが始まる前から想定された形であり、第1戦と同じ策を講じてきたセルティックスに対して、打つ手なく敗れたような第2戦でもありました。

結果以上に閉塞感のあった内容は、次戦以降にも大きな不安を残しています。

ビッグマン対決では分が悪いセルティックスからすると、エンビードを止められないのは想定の範囲内。3人のセンターを次々に送り出して、多少のファールは仕方ないとばかりにフィジカルな対応に徹してきました。それでも止められないエンビードが試合開始からゴール下を支配していきますが、得点を奪われてもフィジカルな対応を続けることでエンビードをガス欠を誘うのがセルティックスの狙いでもありました。2試合続けて後半に失速したエンビードですが、特に第2戦はオフェンスリバウンドが1本も奪えず、ゴール下まで入り込むことすらできなくなりました。

多重の策を用意しているセルティックスは後半になるとディフェンスのギアを上げ、そもそもエンビードにパスすら渡らないほどのプレッシャーをガード陣に掛けることで、ポイントガード不在のシクサーズオフェンスを混乱に陥れました。加えてスティールだけでなく、ディフェンスリバウンドからでも必ず複数の選手が走り出し、ランニングゲームを仕掛けました。

ケンバ・ウォーカーを中心とするハーフコートオフェンスでは、アウトサイドに対してルーズな守り方をするエンビードを振り回すようにスピードとパスワークで翻弄し、攻守にエンビードを疲弊させるような策を講じて、スタミナ切れを誘発しています。

テイタムとブラウンが得点を荒稼ぎした2試合でもありましたが、ともにゴール下まで侵入しながらエンビードの脅威に悩まされずにシュートを決めているのは、スピードで振り切れている自信の現れでもあります。エンビードの身体能力と高さは圧倒的なのですが、明確な弱点を巧みに突いていくセルティックスの試合巧者ぶりばかりが目立った2試合でした。

もちろん、第2戦ではシクサーズも対策を講じてはきました。ディフェンスのプレッシャーを回避するために、第1戦では起用しなかった本職のポイントガードであるハウル・ネトを起用したり、エンビード抜きで成立するプレーコールを展開したり、トラップディフェンスを仕掛けてもきました。

しかし、それらは付け焼刃な印象がぬぐえず、新しいプレーコールは理解していない選手がいて動く方向を間違えるため機能しませんでした。トラップディフェンスでは結果的にテイタムをフリーにしてしまうなど、抑えるべきポイントを考えていないものになっていました。シクサーズではジョシュ・リチャードソンやマティース・サイブルなど個人のディフェンス能力では負けていないはずなのですが、チームで連動する意識には大きな差がありました。

加えてセルティックスは、エンビードのいない時間帯にはグラント・ウィリアムスを投入して素早いスイッチ対応のディフェンスで隙を作らず、トラップを仕掛けられた時にはロミオ・ラングフォードを投入してボールを運ぶ選手を増やしました。ともに第1戦ではほとんど出番がなかった選手ですが、シクサーズの策に対して細かな対応をしたと言えます。

シクサーズとしては第3戦までに対策を考えないといけませんが、そもそも両チームの戦術対応力の違いはシーズン中から明らかで、このフィールドで戦っても勝機を見いだせる気はしません。一方で選手の積極性や個性を重視するシクサーズの良さは、試合終盤にエース以外でも積極的に得点を狙いに行くところにあります。

同じ相手と戦うプレーオフは、戦術的な対応と同時に、緊迫した場面でステップアップしていく個人のメンタルの強さが問われる戦いでもあります。完全に叩きのめされた第2戦だったからこそ、細かい対策を講じるよりも開き直って個人同士の戦いにフォーカスしたほうが、シクサーズの良さを出せるかもしれません。

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