帰化選手の『先輩』アイラ・ブラウン、ファジーカスの日本国籍取得を歓迎

2018/05/01
Bリーグ&国内
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文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、B.LEAGUE

自分のことよりも「日本バスケ界に何がベストか」

今シーズンのBリーグで最も大きな躍進を果たしたと言えるのが琉球ゴールデンキングスだ。地区編成などの恩恵もあるとはいえ、昨シーズンは5割を切った勝率が、今シーズンは7割を超えている。この大きなステップアップにアイラ・ブラウンが大きく貢献していることに疑いの余地はない。強靭なフィジカルを生かしてのゴール下に加え、成功率40%の3ポイントシュート。さらに非凡なアシスト能力にリバウンド、ブロックを得意とするオールラウンダーは、昨シーズンの琉球においてアキレス腱だったオン・ザ・コート「1」の時間帯を強みに変えている。

4月28日、29日とアルバルク東京を迎え撃ったホームゲームは1勝1敗で終えたが、図らずもブラウンの存在の大きさが目立ったシリーズとなった。77-60で快勝した28日のブラウンは、13得点4リバウンド4ブロック2スティール。翌日に61-75で敗れた試合では9リバウンドも0得点、6ターンオーバーと完全に沈黙していたのだ。

初戦の試合後、ブラウンは今回のA東京戦がいかに大切なものであるかを次のように語っている。「チャンピオンシップで対戦する可能性があるチームであり、彼らに『俺たちは君たちに対抗できる』と見せなければいけない。特にディフェンスについてだ」

また、来たるべきチャンピオンシップに向けて、現在のチーム力はどの位置にあるのかと尋ねると「今、優勝できるレベルに到達しているとは言えないけど、正直に言ってその近くには迫っている。選手たちはチームプレーを理解し、しっかり実行できている」とコメント。そして「自分たちのやるべきことをやれば、どんな相手にも勝てると手応えは得ている。それはメンタル面においてとても重要なことだ」と、謙虚な姿勢とともに自信ものぞかせている。

そう言えるのもチームの成長をしっかり感じ取れているからこそ。例えばここに来て得意の3ポイントシュートを武器により怖さを発揮している岸本隆一についてはこう語っている。「もともと得点力の高い選手だけど、Bリーグ2年目になって、どの領域で自分がより相手に脅威の存在かを理解できてきたと思う。彼の場合、それは得点ということになる。彼だけでなく日本人選手はみんなハングリーで、練習をハードにプレーしているのでどんどん成長している」

ファジーカスには「自分の持っている情報を伝えた」

先週は川崎ブレイブサンダースのニック・ファジーカスが日本国籍を取得したことが大きな話題となった。同じ帰化選手であるブラウンは、このニュースについて「ニックの帰化は、心からハッピーな気分だ」と笑顔で感想を語った。

「彼とはこの件について少し話して、自分の持っている情報をすべて伝えたよ。日本バスケットボール界にとって大きな助けとなるね。特にリバウンドに強いビッグマンを必要としている代表にとっては大きい。そして、彼はポストから得点できるビッグマンだ。唯一、心配な点を挙げるとすれば国際試合はBリーグと比べてフィジカルが強く、よりテンポが早い。彼がコンディションを維持して、代表でも活躍できることを願っている」

ブラウンは帰化以来、日本代表の常連となっているが、FIBA(国際バスケットボール連盟)主催大会で出場できる帰化枠は1であり、ファジーカスが日本代表に選出されるということは、ブラウンが漏れてしまうことを意味する。しかしブラウンは「自分とニックが競い合う関係になるとか、そうは思わない」と即答した。

「僕が思うのは日本バスケットボール界にとって何がベストかということだよ」とブラウンは言う。「もし協会がニックを選ぶならそれを尊重するだけで、日本バスケ界がより良い方向に向かうことを祈る。もし、僕を選んでくれたら全力を尽くしてチームの勝利に貢献したい」

Bリーグ制覇へ「指示をどれだけ的確に実行できるか」

来るべきチャンピオンシップで琉球が頂点に立つために何が大切なのか。ブラウンはこのように締めくくっている。「コーチ陣はとても優秀で、新しいプレーを導入したり、試合に向けて素晴らしい対策を取ってくれている。コーチの指示を、どれだけ僕ら選手が的確に実行できるかだ」

「良いディフェンスで試合の流れをつかむ。オフェンスでは相手がどう守ってきても、アグレッシブに攻める姿勢を忘れてはいけない。そしてターンオーバーに気をつけることだ」

ファジーカスの帰化が話題となっている今だが、『やっぱりアイラも素晴らしい選手』であることも事実。彼らには少し申し訳ない気持ちになるが、日本代表にとって選択肢が増えるのは良いこと。それを理解し、エゴを持たず「日本にとって何がベストか」と言い切ることのできるブラウンには感謝しかない。彼もまた、まだまだあらゆる形で日本のバスケットボールに貢献してくれるに違いない。