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ウェストブルックとジョージだけで79得点の大暴れ

プレーオフ1回戦の第5戦を1勝3敗で迎えたサンダー。ホームコートアドバンテージを持っていながら、新人ドノバン・ミッチェルが牽引するジャズに大苦戦し、もう負けられない状況に追い詰められた。

ホームでの第5戦は、前半を終えてジャズが56-41でリード。第3クォーター開始からも勢いに乗るジャズは、15-5のランでリードを25点(71-46)に広げ、この時点でサンダーの今シーズンは終わったと思われた。しかし、絶対的に不利な状況に追い詰められても、この男の『Why Not』精神はブレなかった。言うまでもなく、エースのラッセル・ウェストブルックのことだ。

第3クォーター残り7分51秒に3ポイントシュートを決めたウェストブルックは、ポゼッションを入れ替えての残り7分20秒にも3ポイントシュートを放り込んだ。きっかけを作りかけたサンダーに対し、ジャズは守備の要デリック・フェイバーズが4回目のファウルを受けてベンチに。さらにルディ・ゴベアもファウルトラブルに苦しめられ、第3クォーター残り3分46秒の時点で5回目のファウルをコールされてしまい、ジャズはフロントコートの守りが手薄になる事態に。これでは『無双』モードに入ったウェストブルックを止める手立てはない。

積極的にインサイドを攻めるウェストブルックを止める選択肢はファウルしかなく、サンダーはウェストブルックのフリースローで着実に点差を縮めて行く。ジャズの意識がウェストブルックに向けば、サンダーが誇る『OK3』の一角ポール・ジョージの出番だ。ジョージは体勢を崩しながら難しいレイアップを決めてウェストブルックに続き、ジャズに重圧をかける。そして第3クォーター残り36秒にウェストブルックの3ポイントシュートでついに78-78の同点に追いつき、第4クォーターを迎えた。

第4クォーター開始からも1ポゼッションゲームが続いたものの、試合の主導権を握っていたのはサンダーだった。追いすがるも一向にシュートが入らなくなったジャズに対し、サンダーはウェストブルックがワンハンドダンクで会場を揺らすと、その後も3ポイントシュート、ミッドレンジからのバンクショットを決め続ける。ジョージもジャンパー、ステップバックからの3ポイントシュートを続けて成功させる。ダブルエースの活躍で球団史上最多得点差からの大逆転勝利を収めたサンダーは、第5戦を終えて対戦成績を2勝3敗に。ホームでの敗退を回避し、敵地での第6戦を戦う権利を手にしている。

第3クォーターの20得点を含む45得点15リバウンド7アシストを記録したウェストブルックは「チームが一丸となって勝利を得られた」とコメント。また、大逆転に繋がった第3クォーターのパフォーマンスについて聞かれると「アグレッシブにプレーして、自分のスポットを取れた。同じ位置でのシュートを続けて決められるように集中していた」と続けた。

後半での21得点を含む34得点8リバウンドで同じく勝利に貢献したジョージは、後半のウェストブルックを「スペシャルだった」と称賛。また、25点差からの逆転勝利に繋がった会場の雰囲気を作ったファンへの感謝を言葉にしている。「ここで負けるわけにはいかないんだ。ファンのおかげで後半にリズムをつかめた。彼らが与えてくれるエネルギーは本当にすごい」

サンダーは、ウェストブルックとジョージだけで79得点の大暴れ。カーメロ・アンソニーは7得点に終わったものの、オフェンスの軸を担う2人の活躍なくして今シリーズを勝ち上がることはできないことを、あらためて証明してみせた。

勝ち上がりを決められなかったジャズは、すでに気持ちをホームでの第6戦に切り替えている。リッキー・ルビオは試合後の会見で「今日は前半と、第3クォーター開始からの数分しか良いプレーができなかった」と反省。「すべては自分たち次第。第6戦に持ち込んだ彼らを称えたい」

4月27日にソルトレイクシティで行なわれる第6戦で、ジャズがアップセットを達成するのか、それとも29日の第7戦までシリーズが続くことになるのか、いよいよ今シリーズも佳境を迎えた。