文=丸山素行 写真=B.LEAGUE 

抜群の決定力で大量リードを奪ったA東京

アルバルク東京vs三遠ネオフェニックスの第2戦。第1戦で攻守ともに高いパフォーマンスを見せ、81-58と完勝したホームのA東京が、この試合でも序盤から三遠を圧倒する。

A東京は巧みなボール回しとスペーシングを生かしたオフェンスで、次々とイージーなシュートチャンスを作り出していく。アレックス・カークを筆頭に確実にシュートを沈め、残り5分52秒には竹内譲二のインサイドシュートが決まり16-5とした。点差が2桁に開いたところで三遠はたまらずタイムアウトを要求するが、A東京の勢いは止まらない。

守備では強度の高いディフェンスで、1対1で自由にさせず、三遠が目指すボールと人が連動するオフェンスをさせなかった。シュートレンジの広いカークがミドルシュートをすべて沈め14得点、チームで8アシストを記録するなど、組織力と個の力ががっちり噛み合い、31-13と大量リードを奪った。

互いにオン・ザ・コート「2」の第2クォーターになっても、A東京のペースは変わらない。安藤誓哉との連携からカークがアリウープを叩き込み、開始早々に点差を20に乗せた。

三遠はウェンデル・ホワイトの1on1に打開策を見いだそうとするが、ジャワッド・ウィリアムズの前に沈黙。インサイドのスコット・モリソンの得点も単発となり流れを変えるには至らない。

第1クォーターではアシスト役となり、黒子役に徹していた田中大貴がこのクォーターでは自らフィニッシャーとなり得点を量産。一つのスクリーンから絶妙な距離感を生み出しジャンプシュートを沈め、一人でゾーンディフェンスを攻略した。5本すべてのシュートを沈め10得点を挙げた田中の活躍もあり、A東京はリードを広げた。

終盤に猛追され、試合の締め方に課題

第3クォーターも上回り、72-45としたA東京に完勝ムードが漂っていた最終クォーターだが、三遠も意地を見せる。ここまで59.6%と高いフィールドゴール確率を許していたが、鈴木達也がボールマンへ激しいプレッシャーを仕掛け、チームにディフェンスの意識を注入。「相手のロング2が前半は全部入った。当たり前ですが落ちるようになる」と藤田弘輝ヘッドコーチが試合後に語ったように、A東京はシュートがことごとく入らず失速した。

ディフェンスでリズムをつかんだ三遠はチームオフェンスがようやく機能し始め、ホワイトを中心に連続得点を奪う。田渡修人の3ポイントシュートが決まり、約5分間で14-0と猛追した。

それでも菊地祥平がシュートファウルを誘発しランを止めると、安藤が3ポイントシュートを沈めてセーフティーリードを保った。結果的に最終クォーターのA東京の得点はこの5点のみとなったが、前半の貯金がモノを言い、常に2桁のリードをキープして三遠を退けた。

「弱っている時に全部決めてくる」A東京の破壊力

勝利したA東京のヘッドコーチ、ルカ・パヴィチェヴィッチは「強いゲームをしてくれた。2連勝できたことは大事なこと」と勝利という結果を強調した。それでも「20点から30点離した時の展開。タフにプレーし、せっかくリードをしたのに隙を見せてしまう。最後に詰められたのは反省点です。40分間、試合終了の笛が鳴るまでプレーし続けたい」と課題を挙げた。

一方、敗れた三遠の藤田ヘッドコーチは「キーワードは2400秒、40分間自分たちのバスケットができればもっとチャンスがあった試合だったと思います」と悔やんだ。

また早々に試合を決定づけられた前半のパフォーマンスを振り返り、「バスケットボールはオフェンスが有利なスポーツで、全部を止めることができない。チームとしてOKとしているシュートが本当に全部入った」と想定を超えるシュート成功率に肩を落とした。それでも「弱っている時に全部決めてくるので、さすがだと思いました」とA東京の強さを素直に認めた。

三遠はここ12試合で1勝11敗と失速。チャンピオンシップ進出の可能性は残されているものの、同時に残留プレーオフへ回る危険性も出てきており、上ばかり見ていられない状況となった。