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低調な立ち上がりが響き、一度もリードを奪えず完敗

3年連続でファイナルに進出しているキャバリアーズは、今シーズンは苦戦を強いられたとはいえ優勝候補の一角。それがペイサーズとの1回戦初戦で予想外の大敗を喫した。

両チームともにディフェンスが強調される立ち上がりとなったが、第1クォーター残り5分、スティールから速攻に転じたボーヤン・ボグダノビッチがユーロステップでファウルを誘いながらシュートを沈め、次のポゼッションでもマークに付くケビン・ラブをスピードで抜き去り連続バスケット・カウント。ボーナススローも2本とも決め、重い展開で飛び出した14-0のランでペイサーズが18-4とリードする。

キャブズはレブロン・ジェームズのリムアタックがほとんど見られない。ボールの配給役に徹してクリエイトし、チームメートを波に乗せようという狙いだったが、これは完全に裏目に出た。ようやく自分から仕掛けたレブロンに最初の得点が生まれたのは試合開始から10分が経過したところ。ただ、その時点で8-25と大きなビハインドを背負っていた。

キャブズはオープンの3ポイントシュートがことごとく入らない。残り1分を切ってランス・スティーブンソンが豪快なドライブからダンクをたたき込んで30-10と20点差に。第1クォーターを終えて33-14と大量リードを奪ったペイサーズは、その後もフィジカルと運動量でキャブズを上回り、主導権を譲らない。

キャブズは第3クォーター終盤にようやく追い上げを開始し、一時はビハインドを1桁まで縮めるが、反撃はその程度。第4クォーターに入ると再びペイサーズに運動量で圧倒されてしまう。残り2分、オラディポにこの試合6本目となる3ポイントシュートを決められ78-95でタロン・ルーがタイムアウトを要求すると、クリーブランドのファンは「もうたくさん」とばかりに続々と出口へと向かった。

キャブズは見せ場を作ることができないまま80-98で敗れた。レブロンにとって、プレーオフ1回戦の初戦を落とすのは初のこと(これまで挑んだ12回、すべて初戦は勝利していた)。両チームで最も長い44分間プレーし、24得点10リバウンド12アシストでプレーオフで20回目のトリプル・ダブルを記録したものの、満足には程遠い。試合終了のブザーを聞くことなくロッカールームへと引き上げている。

『シーズンを通して最も成長した選手』に贈られるMIP賞の受賞が確実視されるペイサーズのビクター・オラディポは、エースとして初めて臨んだプレーオフの初戦で32得点を記録。試合後にはこう語っている。「ハードにプレーするのは、今シーズンずっと全員でやってきたこと。レブロンと対戦すること、レブロンのチームとやることがいかに困難か、それを僕たちは十分に理解している。それでも勝つためにここに来た。自分たちの力を出して健闘すればオーケー、ってことじゃなく、勝つのが目的なんだ」

『レブロンとそのチーム』を乗り越えるにはあと3勝が必要だ。キャブズがこのまま活力のないチームでいるとは思えない。だからこそオラディポは浮かれることなく、次を見据えている。