文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

キャプテン吉田が負傷するアクシデントを乗り越え強さを発揮

セネガル代表3連戦の最終戦が代々木第二体育館で行われ、日本代表が84-38で勝利した。

前日の小田原大会で83-54と圧勝した日本代表は、この日はそれを上回るパフォーマンスを披露。特にディフェンスは立ち上がりから完璧で、試合開始から実に5分間を無失点で通した。オフェンスでは司令塔の吉田亜沙美からセンターの間宮佑圭へのホットラインを中心に怒涛の攻め。第1ピリオドを18-5とし、大量リードのスタートとなった。

間宮と髙田真希ががっちり固めるインサイド、それが揺さぶられても、崩される前に本川紗奈生や栗原三佳が効果的にヘルプに入り、セネガルはタフショットを打つことさえままならない。セネガルは立ち上がりに攻め手をことごとく塞がれ、慌てれば慌てるほどオフェンスが噛み合わない悪循環。イージーなターンオーバーを連発する間にリードを広げられ、精神的に立ち直れない。いや、日本代表が立ち直る隙を与えなかったと言うべきだろう。

前半を終えて39-16。後半の立ち上がりも日本の勢いが勝り、残り7分20秒、吉田がハーフライン付近でのスティールから独走でのレイアップを決めて42-20とする。セネガルはタイムアウトを取るも、流れは止められない。

日本の圧倒的優勢な試合展開だったが、第3ピリオド半ばにアクシデントが起こる。ゴール下に飛び込むセネガルの選手を吉田が止めにいった場面、相手の腕が顔面に入り、吉田が倒れ込んだ。結局、スタッフの肩を借りてコート外に出た吉田は続行不可能。大きなケガではなかったが、ほほを強く打っており、残りの試合は患部をアイシングしつつベンチから眺めたものの、試合終了後には大事を取って病院に向かった。

絶対的司令塔である吉田が不在となる緊急事態だったが、絶好調の日本の流れは変わらなかった。第2ポイントガードの町田瑠唯が積極的なドライブを仕掛け、相手守備を切り裂いてから展開するパスで好機を演出した。

第4ピリオドに入るとセネガルが戦意喪失。日本は最後までペースを緩めることなく盤石の試合運びを見せて、最終ピリオドも23-4と大差を付けた。結局、84-38で日本代表が勝利。この大会を3連勝で終えた。

吉田がプレー続行不能となるアクシデントがあったが、日本代表は勢いをキープし勝ち切った。

セネガルを率いた敵将も日本を称賛「トレヴィアン」

髙田真希は昨日に続きゲームハイ、14得点を記録。日本に流れが来ていても、来ていなくても、コンスタントに得点を挙げられる強みをあらためて示した。間宮が12点、近藤楓が11点で続いている。

内海知秀ヘッドコーチは「昨日に続いてディフェンスのアグレッシブさが継続できた」とチームの出来には満足した様子。「この3戦を総括して、セネガルのパワーにどう対抗するかをテーマにし、その練習ができました。本番に向けても同じようなスタイルで臨んでいきたい」と語った。

セネガルの指揮官、ママッダウ・マウスタファーゲーは、日本代表を「トレヴィアン」と評した。「強くて圧巻でした。我々にはまだいろいろ準備が必要で、オリンピックに向かって初心に戻り、さらなる強化を続けていきたい」と語った。もっとも、アフリカ王者の本当の実力はこんなものではないはず。本大会では(日本とは別グループであるが)また違ったパフォーマンスを見せるはずだ。

この3試合でリバウンドだけでなく得点も多く記録し、まさに攻守に渡り活躍した間宮は、大会をこう振り返る。「すごく良い大会でした。反省点もありますが、スタッフに言われたことを自分たちで修正することができました。オリンピックでもコートで戦うのは自分たち。波が来ない時、沈んでいる時にどう立て直すかことも課題になってきます。今回はその良い練習になりました」

リオ五輪本大会初戦のベラルーシ戦は、ちょうど4週間後の8月6日に行われる。チームは7月17日に日本を出発し、アルゼンチンでの最終調整を経て、決戦の地であるリオに入る予定だ。

アフリカ王者を相手に3連勝、パフォーマンスも十分満足できるもので、収穫の大きい大会だったと言える。