3×3で世界に挑戦する落合知也、「3×3に懸ける思いは誰よりも持っている」

2018/04/05
Bリーグ&国内
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文=鈴木健一郎 写真=バスケット・カウント編集部、FIBA.com

3月29日、3×3ワールドツアー『Utsunomiya Masters 2018』の開催記者会見が行われた。ワールドツアーは3×3のクラブチーム世界一決定戦で、世界9都市を転戦するツアーステージ『Masters』の一つ。7月28日と29日、昨年に続き宇都宮市の二荒山神社に特設コートを作って大会が行われる。

東京オリンピックの正式種目に決定して注目が集まる3×3。2020年の五輪には男女各8チームが参加する。参加チームを決めるプロセスはまだFIBA(国際バスケットボール連盟)で協議中だが、ホスト国として男女いずれかのチームは出場できることが決まっている。

この会見には、3X3に専念することを宣言し、栃木ブレックスの選手登録から外れた落合知也も出席。Bリーグでの挑戦を断念し、『3×3の伝道師』になることを決めた落合に話を聞いた。

「ブレックスには自分の思いを尊重してもらいました」

──まずは3X3へ専念する決断について聞かせてください。栃木ブレックスをシーズン途中に離れるということで葛藤もあったのではないかと思います。決めたのはいつですか?

2月です。どちらかを選ばなければならない、そうなったら3×3を選ばなくちゃいけないと考えていました。それまでは5人制と両立してやっていきたいと思っていたのですが、3×3が東京オリンピックの正式種目になったことで、決断しなければならないと。難しい決断でしたが、3×3の競技力を上げるという意味では一本化してやれる環境がベストだと考えました。

4月末に中国でアジアカップが行われます。そこに向けた合宿が始まるとBリーグの日程と重なってくるので、このタイミングでの決断となりました。ブレックスは入団当初から3×3にも理解があって、本当に感謝しています。シーズン途中で抜けることも迷惑だとは分かっていたのですが、自分の思いを尊重してもらいました。

──今はもう5人制のブレックスの練習には参加していないんですか?

3×3の活動がない時は今も一緒に練習させてもらっています。一番の違いはボールなので、そこが変わるのは気になるんですけど、栃木の練習に参加することで僕のコンディションも上がりますし、練習相手としては申し分ないので。今でも5対5もやっています。栃木のセットプレーやディフェンスのシステムは頭に入っています。少なくとも今シーズン終了までは僕も一緒に戦わせてもらうつもりです。

試合には出なくても、ブレックスの一員だという気持ちは持っています。イベントに出る時に無所属の僕は「お前は誰なんだ」となるので、そこは少し複雑ですが(笑)。でも選手たちがそういう雰囲気を一切出さずにチームの一員として迎え入れてくれるのはありがたいです。そこに甘えてはいけないので、僕は自分の練習をまずしっかりやりつつ、できることすべてを出してチームに少しでも貢献できるようにと心掛けています。3×3の活動がない時は栃木の一員として誰よりも応援しますし、試合には出ませんが練習で少しでも盛り上げることで力になりたいです。

目標の東京オリンピックまで「あと2年しかない」

──今後『本業』となる3×3の活動ですが、目標はどこに置いていますか?

最大の目標は東京オリンピックです。あと2年しかないので、日々努力して準備するのが大事です。日本代表に選ばれるのもそうですが、そこで金メダルを取るのが目標なので、そこに向かって頑張っていきたいです。

大学を卒業した23歳の時、街で楽しまれている3on3が競技化される時のプレ大会がウラジオストックであったんですけど、そこに参加したのが3×3に入り込むきっかけです。当時は「呼ばれたから行く」ぐらいの感覚でしたが、やっていくうちにどんどん魅力に惹かれていって。日本人でも世界で戦えるんだということを見せたいと思うようになりました。

当時はオリンピックの種目になるとは想像もしていませんでした。僕みたいにプロになっていないところからキャリアが始まっていても日本代表に選ばれ、世界と戦えるチャンスがあるのはすごいことです。競技者が増えていけば日本のレベルも上がっていきます。

──開催国枠を与えられるのは男女どちらか。もう一方は出場権を勝ち取る必要があります。3×3の男子日本代表のレベルはどれぐらいのところにありますか?

3×3ではプレーヤーそれぞれ個人にポイントが付きます。日本は他の国に比べてプレーしている選手が多く、その意味ではここ2年で大きく変わらないはずで、出場の可能性はすごく高いと思います。ただ、昨年にモンゴルで行われた大会ではアジアで8位と不甲斐ない結果でした。アジアだったら確実にメダルを取るレベルにならなきゃ世界では戦えないし、現時点で世界で勝てるかと言えば絶対勝てません。必要なのは海外での経験だと思っています。

「誰が来たところで負けない自信が僕にはあります」

──シビアな話、世界とのレベルの差をどう考えますか? 5人制よりも戦える、という話を聞きますが、具体的にはどの部分で勝負できるのでしょうか。

日本はスピードでかき乱すというスタイルです。ただ、5人制より3×3のほうが戦えるのは、外角の2ポイントが中の1点の倍というところです。5人制は2点と3点なので1.5倍、これが2倍になるのがすごく大きいです。小さいシューターが3本、4本と連続で決めたらかなり有利になります。

5人制は実力がそのまま出て、マグレがほとんど起きないのですが、3×3はジャイアントキリングがすごく多い競技です。試合時間が10分ということもあり、強いチームでも流れをつかめないまま終わってしまう可能性があります。日本は常に下馬評が低いですが、いつでも下剋上を起こせる競技だと思っています。実際に『PREMIER.EXE』でも国際大会でもそうなっています。

──個人として結果を出すだけでなく「3×3のパイオニアになりたい」との発言もありました。

今はまだ日本ではマイナー競技だし、世界的にもまだまだこれからの競技です。専念できるような環境ができてくれば、Bリーグの選手であったり有力な大学生も3×3に転向できると思うので、僕自身がさきがけのプレーヤーになりたいという思いがあります。

3×3を取り巻く環境は大きく変わっていますし、その中で日本代表の4枠というのは本当に狭き門です。この前の代表合宿もU-19の大学生だったり、主力の大学生がたくさん来てくれて、レベルが上がっていくと同時に若返りも図ってるんだと感じます。

僕が思うに、本当にレベルを上げるにはプロの選手が来なくちゃいけない。ただそこにはリスクもあるので、簡単ではありません。その環境を変えていくのも自分の役割だと思っています。そうなれば日本代表の競争も激しくなりますが、誰が来たところで負けない自信が僕にはあります。これまでの経験値もそうですが、3×3に懸ける思いは誰よりも持っているので。

──大きな目標は2020年の東京オリンピックで、では直近の目標は何ですか?

まだ日本代表が決まっていない状況ですが、日本を引っ張っていくつもりで一日一日準備をしていくことです。大ケガをしてしまって、ポイントの部分では僕が日本の足を引っ張っている状況なので、それを取り戻す必要もあります。リハビリの段階でケガをしないトレーニングや動きをたくさんの方に支えてもらって身に着けてきました。今は全く支障なく全力でプレーできます。これから練習を重ねていけば、もっともっとパフォーマンスが上がってきます。その部分については自信を持ってやっていきます。