文・写真=鈴木栄一

川崎相手に第3クォーターに爆発、21得点で勝利に貢献

3月28日、千葉ジェッツは川崎ブレイブサンダースとの強豪対決に97-78と圧勝。東地区優勝を争うライバルとのゲーム差を3に広げる、価値ある白星となった。この試合、千葉は第1クォーターに10点を追いかける展開となったが、第2クォーターにベンチメンバーの奮闘もあって5点リードと逆転に成功。第3クォーターに大量32得点で18点リードとし、早々と勝負を決めた。

第3クォーターの爆発を導く立役者となったのが富樫勇樹だった。3ポイントシュート3本成功を含む15得点をこのクォーターにマーク。前半の富樫は、第1クォーターにシュート4本中1本成功の3得点、ターンオーバー2つと苦戦。第2クォーターは阿部友和の活躍もあって出番なしだったが、第3クォーターの大暴れによって最終的に21得点3スティールといつも通りの活躍だった。

チーム全体、そして富樫にとっても第1クォーターに失敗してからの見事な巻き返しとなったわけだが、立ち上がりの課題と試合を立て直してくれたチームメートの働きをまずは語った。「昨シーズンに比べたら少ないかもしれないですが、出だしでインテンシティがなく、こういう試合の入りになってしまいました。そこを阿部さんだったり石井(講祐)さんだったり、ベンチから出た選手たちがハードなディフェンスでリズムを取り戻してくれた。そのリズムのまま第3クォーターと続けてプレーできたと思います」

個人として試合中にしっかり立て直せた点については「第1クォーターが悪かった分、第3クォーターで取り戻せました。特に点差の開いていないゲームで、1試合を通して悪いことは今シーズン少ないかと。その切り替えをしっかりできているかなと思います」と手応えを語る。

機動力のある外国籍選手たちの存在が強みに

これで千葉は、3月24日、25日の三遠ネオフェニックス戦とあわせ3試合連続で97得点以上と、ハイスコアリングゲームが続いている。この大量得点を生み出している要因はどこにあるのか。富樫が強調しているのはディフェンスリバウンドだ。

「しっかり24秒間ディフェンスをした後に大事なリバウンドを取れないことがありますが、この3試合は今日の第1クォーターを除いて取れています。リバウンドを取った後のファストブレイクはリーグでトップだと思います」

また、千葉のリーグ最速のトランジションオフェンスを支えている大きな要素が、外国籍選手が3人とも機動力があるところ。特にギャビン・エドワーズはリーグ随一の『走れるセンター』であり、この試合でもその特徴を存分に発揮した。その強みを富樫はこう語る。

「ギャビンが、あのポジションで走れることは大きいです。もちろんニック選手はすごい選手ですけど、トランジションは苦手な部分。そこをギャビンが走ることで優位に立ちました。ギャビンが速攻に参加することで、相手はセンター以外の誰かで止めに入らないといけないので外が空く。そういう場面を一つでも多く作り出していきたいです」

さらに速攻のフィニッシャー役を筆頭にどんどん存在感を増しているアキ・チェンバースについては、「特に最近、アキ選手の攻守に渡る活躍には助けられています」と語ると、他の選手とは違う特徴を持っていると続ける。

「アキ選手は自分たちで点を取らせるようにうまく使うというよりは、オフェンスリバウンド、ディフェンスのスティールやファストブレイクなど、勝手に点数を取ってくれます。石井選手だったら自分がドライブしてのキックアウトでシュートを打ってもらう。小野(龍猛)選手だったらポストアップといったオプションがありますが、基本的にアキ選手は正直に言って、そういうパターンはほぼないです(笑)」

ハードスケジュールも歓迎「練習がないので(笑)」

年明けから約2カ月の故障離脱となった富樫だが、今回はケガからの復帰後では初の平日開催を挟むタフなスケジュールとなっている。だが本人は、むしろそれを歓迎している様子。「この平日の試合を挟むスケジュールは結構好きです。その理由として基本的に練習がないという(笑)。もちろん練習が大事なことは分かっていますけど。激しい練習がないので、結構好きだなっていう……」と取材陣を笑わせ、コンディション面に不安はない様子だ。

今週末は敵地に乗り込んでレバンガ北海道と対戦する。昨シーズンからより安定感を増している富樫を軸に、再び同地区ライバルを撃破することでさらなる上昇気流に乗っていきたい。