文=鈴木栄一 写真=B.LEAGUE、鈴木栄一

父親になって最初の試合は「エキサイティングだった」

3月16日、川崎ブレイブサンダースのニック・ファジーカスは、ホームでの滋賀レイクスターズ戦で26得点12リバウンド4アシストと活躍。83-60での快勝をチームにもたらした。

ファジーカスにとってはいつも通りのプレーであったが、同時に特別な試合でもあった。それは、父親となって初めての試合であったからで「エキサイティングだった。息子に恥をかかせたくないので良いプレーをしたかった。父として最初の勝利を挙げられて良かったよ」と振り返っている。

3月12日、ニックとステファニー夫妻にとって第一子となるハドソン・海渡・ファジーカス君が誕生。210cmの父の遺伝子をしっかり受け継いでいる息子は、4250グラムで生まれ、今は4400グラム、54cmのビッグベイビーだそうだ。

昨年末にはニック、そしてステファニーさんと一緒に焼肉屋で忘年会を行った『バスケット・カウント』としては当然、試合そっちのけでハドソン君について根掘り葉掘り聞いた。

まず、ミドルネームの海渡(かいと)についてニックはこう教えてくれた。「日本で生まれたので日本の名前をつけるのが良いアイデアだと妻と一緒に考えていたんだ。かいと、という響きが気に入っていて、日本語の先生がウチに来て漢字を考えてくれた。また、アメリカ人にとってもKaitoはとても発音しやすいこともあるしね」と教えてくれた。

そして、ハドソンと名付けた理由は、去年の独立記念日でのある少年との出会いが理由となっている。「去年の7月4日、家族と一緒にホテルで過ごしていた。プールに行った時、大勢の子供が遊んでいたんだけど、そこに小さなバスケのゴールがあって、1人の子供が熱心に遊んでいたんだ。僕もその子にパスを出したりして一緒に遊んでいた。妻がその光景を見ていて、その子に後で名前を聞いたらハドソンだった。この時、妻が子供の名前をハドソンにしようと決めて、その気持ちがずっと変わらなかったんだ」

今日のパフォーマンスは「帰ったらハドソンに聞く(笑)」

ちなみに、この一戦については「普段決めているシュートを何本か落としたのは良くなかったけど一番大事なのは勝ったこと。7連勝できたことは重要だ」と冷静に語るファジーカス。ただ、一方で「帰ったらハドソンに、自分のパフォーマンスがどうだったのか聞いてみるよ(笑)」と早速、微笑ましい親バカぶりを見せている。

そして「ハドソンと何をやりたいのか考えると、いろいろと頭に浮かんで眠れないくらい。4歳か5歳になったら体育館に連れて行ってバスケをやらせたいけど、バスケだけでなくいろいろなスポーツをやらせてみたい」と、子育てのプランも考えている模様だ。

また、我々にとってもうれしい言葉を残してくれた。「これからは自分が優先ではなく、息子が優先となる。できるだけ彼が良い人生を送れるように頑張りたい。そして、日本は彼の人生がスタートする場所として素晴らしいところだ」

今日、奥さんとハドソン君が退院して自宅に戻る。イクメン生活を気分良くスタートさせるには、今日もしっかり勝って連勝を8に伸ばすことが大事。今日もファジーカスの大暴れを期待してよさそうだ。