写真=Getty Images

プロジェクト名は『Don't Worry We Got You』

ラプターズ不動のエースとなったデマー・デローザンは、NBA選手として成功し富と名声を手にしたが、その心は常に潤っているわけではない。先月末、デローザンは『Toronto Star』とのインタビューで、幼い頃から様々な思いを抱えながら生きていること、沈んだ気持ちや不安と戦ってきたことを明かした。

デローザンが勇気を持って『うつ』と向き合っていることを告白したのがきっかけとなり、キャバリアーズのケビン・ラブもパニック障害の発作を患っていた過去を明かした。

世間から注目されるプロ選手が精神疾患を公にするのは勇気がいる。デローザンの行動に心を打たれたラプターズファンは、エースに敬意を表し、同じ病を抱えている患者のために資金調達活動を開始した。そのプロジェクト名は、『Don't Worry We Got You』(大丈夫、僕たちがついている)だ。

この活動では、8000万ドル(約85億円)の調達を目標にし、集まった資金は前向きに考えられる言葉、感化される言葉、ファンのアート作品を収録した本の制作に使われ、残りはデローザンがアンバサダーを務める、自己免疫疾患全身性エリテマトーデスに苦しむ患者のための活動を行なっている非営利団体『LUPUS CANADA』に寄付されるという。

ちなみにプロジェクト名の由来は、2010年にクリス・ボッシュがフリーエージェントになってラプターズを退団した際、デローザンがTwitterでファンに伝えた「大丈夫、チームには俺がついている」というメッセージだと『The Score』が伝えた。

トロントのファンは、NBA内でも愛情に満ちていることで知られる。コート内では自分たちのチームに大きな声援を送り、結果をチームと共有する。コート外でも、チームを支えているエースの活動に協力を惜しまない。球団とファンが自発的に行動し合える、理想的なフランチャイズの在り方ではないだろうか。