文=丸山素行 写真=B.LEAGUE
渡邉が躍動し栃木のペースに
栃木ブレックスvs名古屋ダイヤモンドドルフィンズの第2戦。第2クォーター終盤に10-0のランでリードを奪った栃木が、その後も堅守でリードを保ち、75-66で連勝を飾った。
オン・ザ・コート数は栃木が「2-1-1-2」、名古屋Dが「1-2-1-2」と前半に差が生じた。序盤はアグレッシブなディフェンスでプレッシャーをかけ、ターンオーバーから走った栃木が先行する。田臥勇太が笹山貴哉のボールを奪い、速攻からシュートファウルを誘発。フリースローを2本とも沈め9-4とリードを奪った。それでも名古屋Dは大崩れせず、笹山とジャスティン・バーレルがそれぞれ5得点を記録し、16-19と差を縮めて第1クォーターを終えた。
第2クォーター、オン・ザ・コート「2」の名古屋Dがクレイグ・ブラッキンズを強調し逆転する。その後はしばらく膠着状態になるが、ここで流れを一変させたのが渡邉裕規だ。残り2分、渡邊が難しい体勢から3ポイントシュートを沈め35-33と逆転すると、ノーマークのシュートを決めきれない名古屋Dを尻目に、渡邉のこのクォーター10得点目となる3ポイントシュートで締めた栃木が、10-0のランで9点のリードを奪った。
ディフェンスが機能し続けリードを保った栃木
後半に入っても、栃木のペースは続く。オフ・ザ・ボールで身体をしっかり当てる強度の高いディフェンスを継続し、名古屋Dにイージーシュートを許さず、3ポイントシュートを封じる。特にジェフ・ギブスやライアン・ロシターによるビッグマンのダブルチームは名古屋Dオフェンスを終始苦しめ、得意の堅守速攻の展開に持ち込んでリードを広げていった。
最終クォーター、14点のビハインドを背負った名古屋Dは追いつきたい焦りから悪循環に陥る。精度を欠いたパスでボールを失い、速攻の2対1の場面でもパスミスでポゼッションを明け渡すなど自らの首を絞めた。またバーレルがオフェンスファウルをコールされ、ブラッキンズの3ポイントシュートがノーバスケットとなるなど、最後までリズムに乗れない。
一方の栃木は安定したチームバスケットを継続。残り5分50秒、ギブスがフリースローを2本沈め、70-50と点差は20に。その後バーレルに8得点を許し追い上げられるも、主導権を握り続けた栃木が名古屋Dを退けた。
「正直に完敗です。栃木さんが素晴らしかった」
勝利した栃木の安齋竜三ヘッドコーチは勝因をこう語る「名古屋さん得意の3ポイントを注意していました。昨日やられた部分をもう1回しっかり修正して、ディフェンスのエナジーというか、アグレッシブさをずっと出し続けてできたというところが勝因かなと思います」
名古屋は平均8.9本と1試合の3ポイントシュート成功数が一番多い。だが今日の試合では18本中4本成功に封じ、名古屋の強みを消した。
リードを奪った後の安定した試合運びについては「しっかりスクリーンをかけ、空いているところを見てパスを出して、開いたらシュートを打つ。日頃やっていることをどれくらいしっかり遂行できるかというところを、みんながしっかりと意識してやってくれた結果がそうなったんじゃないかなと思います」とコメントした。
一方、敗れた名古屋Dの梶山信吾ヘッドコーチは「正直に完敗です。栃木さんが素晴らしかった、その一言です。この2連敗をしっかり受け止めて。逆に僕たちは、この2つの負けがステップアップだととらえて、練習から頑張っていくしかありません」と総括した。
点差だけを見れば9点差と、決して完敗という数字ではない。それでも梶山ヘッドコーチから見れば『完敗』だった。「やりたいオフェンスを全くさせてもらえなかった。それはボールをもらう前の栃木さんのタイトなディフェンスが素晴らしくて。あとはリバウンドのところですかね。選手たちも分かってはいたんですけど、そこを防ぎきることはできませんでした」
サンロッカーズ渋谷が連敗したことで、栃木は東地区4位に浮上。シーズン序盤の出遅れを挽回し、とうとうチャンピオンシップ出場圏内に足を踏み入れた。それでも激戦の東地区では栃木以下3チームが1ゲーム差にひしめき合い、依然予断を許さない状況が続く。