林翔太郎

林翔太郎は特別指定選手を含め、3シーズンを川崎ブレイブサンダースで過ごし、新潟アルビレックスBBへ移籍することになった。「この環境に甘えていた自分もいたと思う」と語る林は、あえて環境が整った川崎を離れ、より厳しい環境に身を置くことに。プレータイムと自身の成長を求め新潟でのチャレンジに挑む林に話を聞いた。

「初めての一人暮らしなので新鮮です」

──東京アラートも解除され、以前の日常が戻りつつあるかと思います。

そうですね、トレーニングルームが6月から使えるようになったので、ウエイトはやっていました。バスケは全くしてなかったですが、体育館が使えるようになったのでやっとバスケができるって感じでです。

──結果的に長いオフとなりましたが、オフはどのように過ごしていましたか?

特別なことは何もしなかったですね。ゲームをしたり、Netflixで映画を見たり。毎年1回くらいは自己啓発本を読もうと思う時期があって、買ったんですけど読み切れてないです。活字を読むべきだと分かっているんですけど、気持ちが入らないというか。これまでに読みきれていない本もあるので読みましたが、全部は読み切れてないです(笑)。

──読書の他に、この期間中にやっておけばよかったことなどはありますか?

インドアなタイプなのでやりたいことはやれたと思います。強いて言うなら、僕は包丁も持てない人間なので料理に挑戦しておけばよかったかなという感じです。料理を作るスペースがないんですけど、青木(保憲)のインスタを見てたらめっちゃ美味しそうな料理を作っていたので。

──新潟では一人暮らしをされるんですよね?

そうなんですよ。自分でご飯を作らなきゃいけない環境になるので、練習しておけば良かったです。高校から親元を離れているんですけど、高校と大学、川崎も入れて10年間寮生活でした。初めての一人暮らしなので新鮮です。汚くなるまで掃除はしないタイプなので気を付けます。

林翔太郎

「少しずつ気持ちに変化が起きました」

──川崎での話になりますが、今シーズンはプレータイムが半減し、好調だったチームとは対照的に厳しいシーズンとなったと思います。練習での競争なのか、試合で結果が出せなかったのか、どのように考えていますか?

どちらもですね。練習で信頼を勝ち取らないとプレータイムはもらえないですし、練習で良くて少し長めに出してもらった時も結果を出せなかった自分がいました。当然の結果ですね。

──スモールフォワードは熊谷(尚也)選手が加入し、長谷川(技)選手もいて、さらに増田(啓介)選手も加わって競争が激しかった思います。どの部分で差が出たと思いますか?

チームディフェンスの部分だと思います。ディフェンスは一人でもできないと崩れてしまい、5人ができて初めて成り立ちます。僕が出てる時間帯のディフェンスに問題があったかもしれないですね。

僕は学生の時から映像をあまり見てこなかったのですが、他の3選手に比べてそういう部分でも劣っていたかと思います。映像を見ることの大切さが分かりましたし、僕の努力が足りなかったかと。

──12月に取材をした時には、チームが日本一になるために自分には何ができるのかをいつも考えるようになって、試合に出られないことに対してのストレスや焦りはあまり感じないと言っていました。

徐々に心境の変化はありました。練習をやり続ければいつか試合に出してもらえて結果を出せると思ってたんですけど、チーム内の競争が激しくなっていって。もちろん練習で日本代表選手を相手にしていることを考えたら怖いモノはなかったし、試合に出たら絶対にやれるって思いはありました。でも信頼を勝ち取れず、少しずつ気持ちに変化が起きました。

──個人的に林選手が川崎を出るのは正直意外でした。移籍の理由は何でしょうか?

一番の理由はプレータイムですが、他のチームが僕をどのように評価しているかも気になっていました。

バスケをやる上で川崎以上の環境はないと思っています。でも、逆に環境面でも、より厳しい環境に身を置かないといけないと思ったんです。日本で一番良いと言っても過言ではないこの環境に甘えていた自分もいたと思うので。

──自分を律することができず、強制されてやるタイプということでしょうか?

そうですね、学生の頃は強制されないとやらなかったです。川崎に来て、先輩たちを見て自主性の大切さを知りました。

林翔太郎

「外国籍選手を止めてほしいと言われました」

──何チームかオファーがあったと思いますが、新潟を選んだ理由は何でしょう?

福田(将吾)さんが新潟のヘッドコーチになるのですが、僕が東海大九州出身ということを知ってくれていたのが大きいです。僕の大学は日本で一番練習が過酷と言っても過言ではないくらい厳しい大学で、そこで4年間やり切ったメンタルとかも評価してくれて、誘っていただきました。

──新潟ではどんな役割を求められていますか?

ポジションにとらわれないというか、2番に挑戦してもらいたいとも言われました。あとはディフェンスですね。レギュレーションが変わって、3番タイプの外国籍選手が増える可能性がある中で、外国籍選手を止めてほしいと言われました。ありがたいですね。

──オフェンスではどのようなプレーをしていきたいですか? また具体的な数字での目標などはありますか?

ドライブも得意ですが、ランニングプレーだったりリバウンドを取ってからのボールプッシュを増やしていきたいです。スタメンで20分以上出ることを最低ラインの目標にしています。

学生時代は自分が得点を取って「どうだ!」って思っていたんですけど、プロの世界に入って得点だけじゃないと思うことが多くなりました。素人目では目立たないかもしれないけど、川崎の長谷川さんみたいに選手から見たら相手のエースをシレッと止めていたり。そういうのがカッコ良いと思いました。もちろん、同じことをしてもダメだと思っているので、点数も取りに行きます。

──新潟はベテランと若手が多く、中堅と呼ばれる選手が少ないチームです。B1でのプレー経験が豊富な林選手は中核としても期待が大きそうです。

そうですね、経験の部分でも評価してもらっているので、川崎で学んだ良い部分を新潟に持ち込んで、みんなで共有していきたいです。五十嵐さんは僕がミニバスをやっていた頃に世界選手権のエースでしたから、緊張しちゃう部分はあるかと思いますけど、時間が解決してくれると思います(笑)。コート上では年齢は関係ないので、自分が思っていることを伝えてみんなでコミュニケーションを取っていきたいです。

──では最後に、新潟のブースターに向けてメッセージをお願いします。

川崎で学んだことを新潟で還元できるようにします。まだまだ僕も若いですしエナジー溢れるプレーで新潟のために一生懸命戦うので、ファンの皆さんも一緒に戦ってください。