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キャリアのハイライトを作る移籍先は見つけられるか

今シーズン開幕3連勝を飾ったグリズリーズの歯車は、その後すぐに狂い始めた。先発ポイントガードのマイク・コンリーが長期離脱となり、同じく主軸のマルク・ガソルは当時ヘッドコーチを務めたデイビッド・フィズデイルとの確執が報じられ、グリズリーズは11月下旬にフィズデイル解任を決めた。

ガソルが球団にフィズデイル解任を迫ったとも報じられたが、本人はその噂を否定。コンリーは痛めた左かかとの手術を決断し、今シーズンを全休することに。チームはリーグ最下位に低迷し、すでにプレーオフ進出の望みも絶たれた。チームは再建段階に入り、ベテランのガソル放出の可能性が取り沙汰されたが、本人は球団が望む限り自分はこのチームでプレーする」と宣言。トレードデッドラインを迎えても、グリズリーズはマルクを放出しなかった。

苦しむ弟の姿を同じNBAの舞台で見続けている兄のパウ・ガソル(スパーズ)は、10年前、今と同様に勝てないグリズリーズからレイカーズに移籍した。その時の経緯を『Memphis Commercial Appeal』に語っている。「10年前の僕は優勝を狙える環境を必要としていた。もっと安定して勝てるチームでの機会をね」とパウは振り返る。

パウは2001年ドラフト全体3位でホークスに指名され、トレードされたグリズリーズでエースに成長したものの、思うように勝てないことに不満が募り、2008年2月に弟マルクの交渉権を含むトレードでレイカーズにやって来た。その後のパウは、コービー・ブライアントとのデュオで2009年と10年に2連覇を果たし、悲願を達成した。

パウは言う。「自分がトレードされたのは27歳の時だった。弟が今いるステージとは異なる」

現在33歳のマルクは、キャリア晩年に差し掛かっている。といっても、オールスター級の実力は確かで、本来なら引く手数多の存在だ。高額な年俸がネックとなり今シーズンはトレードが成立しなかったかもしれないが、補強を行なうオフシーズンに入れば、再建に舵を切ったグリズリーズにメリットがある条件を提示してくるチームが出てくるかもしれない。優勝の機会を願い念願を叶えた兄のように、弟マルクが実力を存分に生かせる環境を手にできるかどうか、オフシーズンの動向に注目したい。