「ドックは『チャンピオンになるためには運が必要だ』とよく言っていた」
クリス・ポール、ブレイク・グリフィン、ディアンドレ・ジョーダンがいたクリッパーズは魅力的だったが、NBAチャンピオンのタイトルを獲得することはできなかった。ポールがクリッパーズでプレーした2011-12シーズンから2016-17シーズンまでの勝率は66%を超え、この数字を上回っていたのはスパーズとウォリアーズだけだった。
当時のクリッパーズは、ポールからのロブをグリフィンやジョーダンがアリウープで叩き込むプレーで多くのファンを魅了し『ロブ・シティ』と呼ばれていた。豊富なタレントが揃っていたクリッパーズだったが、2012年から2017年でカンファレンス・セミファイナル以降に進出することはなかった。そして、ポールが2017年にロケッツにトレードされたのをきっかけに『ロブ・シティ』は解体した。
ポールは『Quibi』が制作したドキュメンタリー『Blackballed』で、当時のクリッパーズに足りなかったものを語った。「ヘッドコーチのドック(ドック・リバース)は『チャンピオンになるためには運が必要だ』とよく言っていた。僕らには運がなかったんだ。チームの成績不振とドナルド・スターリング(当時のチームオーナー)の一件は一切関係ない。問題だったのは間違いないし予想外のことだったが、人生はそういうものだ」
優勝するチームには運も味方するもので、ポールとリバースが言うようにクリッパーズには運がなかった。ポールとグリフィンはプレーオフという最悪のタイミングでケガが続いた。2015年のプレーオフ準決勝の対ロケッツ戦では、伏兵ジョシュ・スミスが3ポイントシュートを次々と沈め、3勝1敗からまさかの逆転負けを喫した。
勝負事に運はつきものだが、勝敗を分けるのはそれだけではない。クリッパーズがタイトルを逸した原因は当事者にある。リバースは息子のオースティンをトレードで獲得し、身内びいきとみなされチームの和を乱した。ポールもグリフィンと良好な関係を築くことができず、チームリーダーとしてケミストリーを構築できなかった。結局のところ、クリッパーズは運以外のコントロールできる部分をマネジメントできていなかったことが、NBA優勝を果たせなかった理由の一つだろう。