福岡大学附属大濠を率いる片峯聡太コーチが語るAfterコロナ「ブレることなく前に進もう」

福岡大学附属大濠を率いる片峯聡太コーチが語るAfterコロナ「ブレることなく前に進もう」

2020/06/01

片峯聡太

福岡県では5月14日に非常事態宣言が解除されたが、5月中は分散登校が続いて学校生活が元通りになることはなかった。まだしばらくは気を引き締めて生活していく必要があるが、福岡大学附属大濠ではバスケ部が6月1日から活動を再開し、バスケットボールがフロアを叩く音が体育館に戻ってきた。言うまでもなく、バスケ部の選手たちは日本一を目指して全国から大濠に集まっている。インターハイの開催がなくなり、あとはウインターカップを目指すことになるが、彼らのモチベーションをどう高めていけばいいのか。指導にあたる片峯聡太コーチにその思いを聞いた。

「選手たちが意識するのはウインターカップ」

──ようやく部活動が再開し、これから徐々に元通りの日々が戻ってきそうです。これまでどのように過ごしていましたか?

まさかここまで感染が拡大して、学校が休校になり、チームの活動ができなくなるとは予想していませんでした。大濠として、OBも含めてチーム一丸で乗り越えようとしたし、私も指導者としてどうあるべきか、バスケットボールにどうかかわっていくか、自分自身の考えを整理する時間になりました。

21名の選手が寮生活をしているのですが、5名は実家に戻って、16名が残りました。私は密にならないようなメニューを最初は与えたのですが、特に寮に残った選手たちが自主的に、上級生を中心に練習できました。学校が再開するにあたってグループごとに分けての自主練は始めたのですが、私は顔は出すだけで、半強制的にやっていた練習から脱して、真っ白なノートに自分で描くような主体性に移行しました。

この時間を無駄にしたくないと考えてチャレンジしたのが小論文で、私も勉強して、選手たちにもやらせて。みんな高校3年間バスケットをやって楽しかったね、で終わる人間ではないので、論理的に考えて意見をしっかり述べる練習です。バスケットの練習も主体的なスタイルをあらためて確立させて、徐々にではありますがやっていきたいと思います。

──一つの大きな目標だったインターハイの開催がなくなり、コーチも選手もショックは大きかったのでは?

バスケットができない状況になったこと、インターハイがなくなったことでショックというか、何もできない思考になってしまうんじゃないかと心配したんですが、大濠の目的は人間教育であり、生徒たちの目標は人格形成であって、その次に高校日本一になることだ、とこれまでも伝えていました。こんな状況にあっても彼らの中でチームに属する目的はブレず、それは指導者として喜ばしかったですし、それは今後彼らが大きく伸びると希望させてくれるものでもあります。

それにバスケットには冬にウインターカップがありますし、去年の大会のこともありますから、やっぱり選手たちが意識するのはそちらですね。ただ、同じクラスの生徒でもこの先にもう大会がない競技もあります。それこそ私は3年生の担任で、41人の生徒のうち硬式野球部の部員が18人います。甲子園が中止になって、彼らは落胆した姿こそ見せませんが、感情を抑えていることは分かりました。そこに掛ける言葉はありませんよ。彼らがどれだけ甲子園を追い求めて頑張ったか、「その気持ち、分かるぞ」と簡単に言ってしまっては失礼になります。他にも、大会はまだあるけど進路のことを考えて、涙ながらに引退を報告してきた生徒もいます。担任として、ゆっくりと時間をかけて接していくことが私から彼らへの尊重だと思います。

片峯聡太

「コロナの時期に主体的に取り組んだことが礎に」

──ここからはウインターカップを目指して再スタートとなります。チームの軌道修正は大変そうです。

今回のことに関係なく、いつも彼らには「前に進む原動力は自分自身の覚悟と、人への思いの2つに限る」と言っています。インターハイ中止が決まった時も、直接会えなかったのでLINEで伝えるだけでしたが「たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日私はリンゴの木を植える」というルターの言葉を送りました。解釈はみんなに任せたのですが、変に残念だったとかウインターカップに向けてじゃなく、ブレることなく前に進もうと言いたかったです。

──年間を通じてチームを作っていくと思いますが、それは今回の新型コロナウイルスの影響で大きく崩れたのでは?

大ダメージですね。本来であればトレーニングをしっかりやって、試合の数をこなす2月3月の活動ができませんでした。知らない人からすれば、2カ月か3カ月調整すれば大会に間に合うと思うかもしれませんが、ここから6月と7月でチーム作って8月から10月で修正して、11月3日の県予選でピークを作っていくのは大変です。そこには季節的なものがあって、2月や3月ならトレーニングもゲームもたくさんできますが、夏は熱中症にも気を付けないといけない。ただ、このコロナの時期に主体的に取り組んだことが礎となって、夏に生きてくるかもしれません。

──今回は新型コロナウイルスによる自粛期間がようやく終わるということで、バスケットボールファミリーみんなで頑張っていきましょう、という気持ちが強いですよね。

そうですね。我々バスケットボールプレーヤー、バスケットボールを愛する人たちは、競技をただやるだけではなくその価値をどう高めていくかを考えていかなければいけない。そういった意味では、バスケットボールをやることが素晴らしい思考、習慣に繋がることを是非アピールしていきたいです。それと同時に今後もコロナに限らず感染症が出てくる可能性がありますから、清潔な環境作りに努めて、大濠高校が皆さんのお手本になれるようにやっていきたいですね。スポーツが社会から逸脱することなく、社会の中で価値を高めていければと思います。

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