橋本竜馬、2年目の挑戦へ覚悟を決める「新しいレバンガ北海道を作ると毎年毎年言っているようじゃダメ」

橋本竜馬、2年目の挑戦へ覚悟を決める「新しいレバンガ北海道を作ると毎年毎年言っているようじゃダメ」

2020/06/03

橋本竜馬

シーホース三河、琉球ゴールデンキングスと優勝候補のチームでプレーしてきた橋本竜馬は、レバンガ北海道に加入した昨夏、Bリーグになって勝率5割を超えたことがないチームで「優勝を目指してやっていく」と宣言した。もっとも、降格をギリギリで免れたチームがいきなり好成績を残せるほど甘くはない。今シーズンは勝率こそ上げたものの、まだまだ勝ち越しには遠い状況。この1年をどう過ごし、次なるシーズンに向けてどんな目標設定をしているのか。橋本に話を聞いた。

「レバンガは多くのことを今から作り上げようという段階」

──北海道での最初のシーズンが終わりました。折茂武彦さんの誘いを受けて移籍を決断した時には「北海道を勝てるチームにするのが役割」と話していました。1年やってみて手応えはどうですか?

シーホース三河で7年、琉球ゴールデンキングスで1年やらせてもらって北海道に来て、自分の経験を振り返った時に、やっぱりBリーグの中でも財政面や環境面も含めてまだまだフラットではないと感じました。それぞれのチームの理念や歴史があって、こうなりたいという理想像もありますが、それぞれすごく違うんだと。

北海道はファンの皆さんが熱いのはもちろんありますが、成り立ちとしてレラカムイが経営難からリーグを除名処分になり、そこから折茂さんがレバンガを立ち上げて少しずつクラブが大きくなってきました。その中でスポンサーや北海道バスケットボール協会の協力があったり、いろいろな人たちのおかげでチームが成り立っています。これは僕が簡単に言葉では言い表せないぐらいのことだと感じています。

待遇や環境面など多くの面で、僕の経験で言えば三河や琉球の方が上回っていると感じることが正直多かったです。それはこういった取材対応であったり練習の環境だったり、毎日の中で選手ファーストが出来上がっていたのが三河や琉球でした。でも、レバンガは多くのことをこれから作り上げようという段階で、「これがあればもっと良くなる」と指摘できる意味でも僕が来たことには意味があります。

実際に僕が移籍して来た1年前より良くなっていることもあります。専用の体育館の整備も進んでいて、選手たちがバスケットに打ち込める環境が整ってきています。何事も一気に変わるものではなくて、一つひとつクリアしていかなければいけない。自分たちもそのことを理解し、納得しながら最高のパフォーマンスを出そうとしています。

──アイシン時代から何もかも整った環境に慣れていた立場からすると、環境が整っていないことにストレスは感じませんか?

1年前にここに来た時には、戸惑うことも正直ありました。それでも1シーズンをともに過ごしていく中で、物事には順序があって、たくさんの人の協力を得て一つずつクリアしていくものなんだと理解できたし、レバンガにかかわる全員がそれを理解して取り組んでいます。ただ、スピード感はもっともっと上げるべきだし、全員がもっと意識しないといけないとも感じます。

橋本竜馬

「このチームが爆発的に成長するチャンスは常にある」

──コート上での戦いに目を向けると、今シーズンの出来をどう受け止めていますか?

個人としては良くないですけど、まあまあですかね。失敗もしたし、これではダメだと分かったこともありました。移籍1年目の選手はどのチームであっても、中で声を上げていくことの難しさはあります。ただ、長くいればいいわけでもないですし。そうやってみんなと時間をともにして、会社のことも分かっていく。それは大切なことだったと思います。

──チームとしてはいかがでしょうか? 10勝50敗だった前シーズンから勝率は上がりましたが、13勝27敗とまだ大きく負け越しています。いずれチャンピオンシップに進むチームになるのが目標だとすれば、ここから何が必要ですか?

桜井(良太)さんも言っていましたが、組織の文化を作ることが必要です。「レバンガの文化は何なのか」をまず最初に決めて、バスケットボールで言えばそれが試合の中で何分できたか、できなかったとしたら何が問題なのか、そうやって精査しながら最終的には「こういうバスケットをやりたい」と思い描く形を40分間目指していく、勝敗にかかわらず出し切れるようにする。その文化ができないままであれば、チャンピオンシップ進出どころか東地区を戦っていくこともできないという危機感があります。

レラカムイからレバンガに移り変わるとともに、作り上げてきた歴史や文化も継承されてきていると思います。レバンガが新しいコーチを迎えてやりたいバスケットがそれと一致しているのがまず大事です。その中で選手にもそれぞれ今までのキャリアがありますが、ヘッドコーチの目指す方向を向いて進まないといけない。まずはそれをベースとすることが大前提です。

まだ宮永(雄太)ヘッドコーチとは話していないので分からないですが、そのコンセプトが何であれ僕たちが理解してやり続けられるかどうかですね。今シーズンはチャンピオンシップがありませんでしたが、アルバルク東京や千葉ジェッツや琉球ゴールデンキングスは明確なコンセプトがあって、40分間やり続けられるチームです。それはもしかしたら38分かもしれないけど、それを追求する中で成熟しているから強いんだと思います。

──結局のところ、チャンピオンシップで上位に来るチームの顔ぶれは固まっています。それが文化の差なんでしょうか?

日本のバスケットボール自体がそういう文化になってきたんだと感じます。結局、最後に勝つチームは試合の肝になる部分で違いを出せます。チームとしてディフェンスして、チームとして攻めてシュートを決めることを40分間やり続ける。これはすごく難しいことですが、そのためにどれだけ練習の中で詰めていけるか、試合の中で求めていけるか。厳しいシーズンになると思いますが、そこを我慢してあきらめずにやり続けるのが、レバンガ北海道の第一歩になると思っています。

新しいチームのロスターも決まってきて、ファンの皆さんも「ここはアドバンテージだけど、ここは不安」みたいな部分が見えるかもしれません。そこで僕は個人のスキルの底上げはもちろん、仲間を一緒に引き上げていかないといけない。難しいミッションですけど、僕はそれを望んでここに来ています。このチームが爆発的に成長するチャンスは常にあると感じてもいます。

橋本竜馬

「若い頃は自分が活躍してナンボだと思っていた」

──折茂さんが引退して、新しいヘッドコーチを迎えて新しいレバンガ北海道がスタートします。体制が変わるということでまた新たな意気込みはあるのでしょうか。それともチーム事情がどうあろうが橋本選手のやることは変わりませんか?

1年間をここで過ごして、また今年も契約させてもらいましたが、みんな「新しいレバンガを作る」と言うんです。でも、それって何なのかな、と僕は思います。折茂さんが引退した次のシーズンに何の覚悟もなく「新しいレバンガを作る」という言葉が出てきて、それを毎年毎年言っているようじゃダメですよね。今まで築いたものがあって、その上で僕たちの使命が何であり、そこに僕たちそれぞれがどうかかわっていくのか。ベースをバシッと作らないといけないという使命感は僕の中では大きいです。

──折茂さんが引退することで、自分が背負って立つんだ、という気持ちは?

これまで折茂さんは選手としての時間が絶対的にある中、社長としてはもどかしい部分があったんじゃないかと思います。これからはレバンガ北海道というクラブをより良くしていくために、何が必要なのかを一番に考えることができる。バスケットボールのコートでのことは僕たちが背負って、日に日に成長していく姿を見せていきたいです。折茂さんだけじゃなく、フロントのみんなはクラブをより良くするための仕事を、僕たちはコートで、お互いのことを理解して刺激を受けながらやるべきことをやっていくのが最高の形だと思います。

──どのチームのどんな立ち位置にいたとしても、橋本選手はプロ選手としての覚悟をすごく強く明確に持っていると感じますが、もともとそういうタイプですか? あるいは何かのきっかけで今の考え方ができるようになったのですか?

僕も分からないんですよね(笑)。アイシンに入って最初の頃は全然です。若い頃は自分が活躍してナンボだと思っていたし、スタッツを残してキャリアを上げていくのも選手としては大事ですよ。でも当時、同じようにスタッツを残してもチームに貢献する選手とそうじゃない選手がいるな、というのは感じていました。それに、チームが勝つためには自己犠牲がどうやっても必要な場面が出てきます。自分のスタッツとチームの結果で葛藤しながらも「それを誰がやるのか」、「じゃあ自分がやろう」という感情の中を進んできました。ただ僕は運が良くて、人にもタイミングにも恵まれて日本代表にも選んでもらえましたし、いろんな人と出会って話を聞いて、自分なりに整理して今の考え方に至っています。

──ただでさえ勝ち負けのプレッシャーは大きいのに、そこまで突き詰めて考えると精神的に参ってしまうんじゃないですか。バスケのことから頭を切り替えるために何かやっていることはありますか?

特別ありませんが、結婚して家族を持ったことで助けられていると思います。一人でいる時は、一つの負けを深く考えてしまうことがありましたが、今は家に帰って家族に話すことで切り替えられるというか、それで寝られないことはないし「また明日頑張ろう」という気持ちになれます。この自粛期間も、家族と一緒にいられる時間が長かったのは良かったですね。

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