安藤誓哉

2019-20シーズンは新型コロナウイルスの感染拡大により途中で中止となったが、アルバルク東京は中断時点でリーグ最高勝率を残し、その強さをあらためて示した。そんなチームにおいて、安藤誓哉はアレックス・カーク、田中大貴とともにチームの柱として存在感を増した。すでにチームでは確固たる地位を築いたが、「満足はしていない」と歩みを止めない安藤に話を聞いた。

「プライベートの安藤誓哉をもっと知ってもらいたい」

──外出自粛期間が続きましたが、どのような生活を送っていましたか?

外を走ったり、自重のトレーニングをしたりしています。だいたい午前中に全部やって、午後はバスケの映像を見たり、皆さんと変わらないと思います。NBAも見ますが、ウチのバスケスタイル的にもプラスになるユーロリーグを結構見ています。自分の試合もたまに見てますね。ちょうど5月はプレーオフウィークなので、昨シーズンのチャンピオンシップを見てモチベーションを上げました。

──やはり練習施設が使えずバスケットボール自体から離れてしまうことで、モチベーションを保つのは難しいですか?

いえ、バスケの映像を見ていれば勝手に上がるので、モチベーションを保つという考えもなかったです。毎日やることをやっていかないと次に繋がらないですし、目標に向かってやり続けなければいけないので。自分としてはこの期間はそんなに苦痛ではないですね。

──自身のファンクラブ『安藤大陸』を開設しましたが、その活動もあって逆に忙しいのではないですか?

忙しいまではいかないです。でもファンの皆さんと一緒に楽しみながらできることの一つだと思ったので、ちょうど良いタイミングでできました。

──始めたきっかけや意義はなんでしょう?

プライベートの安藤誓哉をもっと知ってもらいたいというのがあります。時代は変わってきていて、コートでバスケをしている姿だけでなく、もっと深く入り込んで見てもらってもいいと思ったんです。それを見たいと言ってくれる人もいるので、お互いがそう思うならこういう形を作ってもいいと思いました。

──活動の中で楽しいと感じることは何ですか?

ファンの方とライブ配信でグループチャットとかをやるんですけど、好きなことを話したりするのは楽しいですよ。自粛期間でも話せることはいっぱいあって、この期間中にこういうことをやってもらってありがたいとファンの方が言ってくれるのはうれしいですね。僕としてはオンとオフを分けているつもりはないんですけど、「誓哉さんってコートと違いますね」って言われたり、俺ってこう見えてたんだって逆に気付づかされます。ポーカーフェイスって言われることが多いんですが、自分ではそう思わないですし。そういう違いが見えるのも、この活動の面白いところなんじゃないですかね。

安藤誓哉

「技術だけじゃなくオーラをまとう雰囲気を出したい」

──結果的にリーグ最高勝率で今シーズンを終えました。今シーズンをどのように評価しますか?

最高勝率で終えられたことは良かったですが、満足してはいません。自分の中で満足してはいけないというのがあるんです。メンタリティや考え方、挙げたらキリがないですが、伸ばさなきゃいけない部分はあります。

──2連覇、そして今シーズンには最高勝率を残したチームの正ポイントガードです。ここから理想に近づくには何が必要ですか?

勝った試合でも悪い時間帯はあるし、難しいですけどそこをなくしていかないといけない。クラッチショットを決めたとしても、バッドゲームだったこともあるし、まだ支配し切れていないと思うので。毎試合ドミネートできるポイントガードになりたいと思っています。

──単に20点取ったから支配したということにならないと思いますが、支配する際に大事な部分は何になりますか?

ワールドカップで感じたことなんですが、各国のトップポイントガードと言われる選手は味方をしっかりまとめていて、その人がいないとゲームが成り立たない感じなんです。リーダーシップがあってめちゃくちゃしゃべるし、そういうポイントガードは誰でもキャプテンができると思いました。技術だけじゃなくオーラをまとう、そういう雰囲気を出していきたいです。

──竹内譲次選手はカーク選手、田中選手、安藤選手がチームの三本柱とおっしゃっていました。

チームの認識としても、今までは三本柱になれていなかったと思います。3シーズン目が終わってベテランの譲次さんにそう言ってもらえたのはうれしいです。チームを引っ張る意識は高かったし、それを行動に移せたとは思うので、やり続けてきた結果ですね。

──ドミネートの流れからすると、三本柱の中でもっと安藤選手の存在感を増やさないといけないということですよね。

そうですね、ルカ(パヴィチェヴィッチ)もポイントガードの存在価値は言葉以上に大きいと言っているので。

安藤誓哉

「オフコートでも点数を取れるプレーヤーになりたい」

──ルカコーチとの師弟関係も来シーズンで4年目になります。

そうですね。個人的に話す時は細かく話してくれますが、ルカもそんなに細かいことを言っているわけじゃないんだなって最近思ってきました。1年目はあれでしたけど、今は厳しいとも思わないですからね。細かいことに関してはまだまだ教わることはありますよ。シュートに関して、20回打つチャンスがあったら20回打つメンタリティが必要だと言われたり。それって結構難しいことだと思いますが、富樫勇樹はできると思います。

「ポイントガードはバスケだけじゃなくて人生だ」って言葉を言われた時は、「この人すげえな」って思いました(笑)。普段の生活、人生においてもポイントガードであれ、みたいな。

──名言ですね。では来シーズンは何を目標に置きますか? 数字的なものはあまり気にしないですか。

今シーズンは数字面で目標を掲げていなくて、その支配的な部分の感覚をつかもうとしてきました。来シーズンも数字は考えていないですね。支配できれば自ずと全部が上がってくる思うし、それがオリンピックにも繋がると思うので。

──では、オフコートでの目標はありますか?

何かを変えようとかは思ってなかったんですけど、ただバスケットをやっていればいいという考え方ではなくなって、ファンクラブも始めました。カッコつけた言い方をすれば、オフコートでも点数を取れるプレーヤーになりたいと思います。

──人生においても「ポイントガードであれ」を体現するってことですね。では最後にファンにメッセージをお願いします。

リーグが中止になって2カ月が経ちますが、選手だけでなくBリーグのファンの皆さんも残念な気持ちだったと思います。だからこそ、来シーズンに懸かる期待も大きいと思うので、今できることをやって、再開した時にまた変わったと思われるように、準備し続けます。