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メディアの執拗な姿勢に「イライラする」

NBAドラフト全体1位選手には、避けられない運命がある。即戦力と見られるのは当たり前で、そればかりか、期待以上のパフォーマンスを求められることだってある。2017年ドラフト全体1位指名を受けたセブンティシクサーズのマーケル・フルツにも、それだけの期待が寄せられている。しかし、フルツは肩に問題を抱えて昨年10月下旬から欠場を続けている。

当初はそれほど長引くとは思われていなかったが、いまだ復帰できず、シクサーズも慎重な姿勢を崩していない。ブライアン・コランジェロGMも、フルツが今シーズン残り試合を欠場する可能性を示唆したばかりだ。とは言っても、メディアは連日のようにフルツの肩の状態に関する情報を報じている。

この状況に黙っていられなかったのは、ベテランガードのJJ・レディックだ。2月9日の練習中、フルツに張り付くメディアに気づいたレディックは、シュート練習をこなしながら「アイツはまだ19歳なんだぞ!」と声を荒げた。練習後の取材に応じたレディックは、過熱する報道について、包み隠さず語った。

「イライラするよ。彼はまだ19歳で、一生懸命に努力しているじゃないか。ファンのみんなが彼の状況を気にかけるのは分かる。ただ、思っていたよりも復帰までに時間がかかるかもしれない。毎日のように練習場に来て、彼がシュートを打つ姿を見ているなんてやり過ぎだ。俺たちだって、彼が復帰して、大好きなバスケットボールをプレーする姿を見たいんだよ」

なかなか肩の状態が上向かず、苦悩を抱えるフルツにとって、レディックのように自分を擁護してくれる先輩はありがたい存在だ。しかし、全体1位指名選手という肩書がついてしまっている以上、メディアの取材が過熱するのも無理はない。まだ19歳とはいえ、再建への土台が完成し、これからステップ、ジャンプする状態にいるシクサーズが高く評価し、高額な契約を保証している選手なのだから、期待に応える義務がある。

今シーズン開幕から飛ぶ鳥を落とす勢いを維持しているベン・シモンズも、昨シーズンは骨折で全休を余儀なくされた。フルツも今はじっと我慢し、万全の状態で復帰することを最優先にすべきだ。サポートする体制は球団が整えている。あとは、復帰後ドラフト1位選手に相応しいパフォーマンスを見せるだけだ。