文・写真=鈴木栄一

西地区首位の琉球を相手に、第2戦で雪辱の勝利

2月4日、京都ハンナリーズは琉球ゴールデンキングスに87-67と圧勝、前日に19点差で敗れた同地区ライバルに雪辱を果たした。その立役者となったのがジョシュア・スミスだ。

「ウチはまずインサイドで起点を作ってバスケットボールをしたいチーム」と浜口炎ヘッドコーチが語るように、京都においてゴール下で主導権を握ることは勝利に向けた大きな鍵となる。大敗した琉球との初戦では、ペイント内での得点がわずか12に終わった。それはスミスがファウルトラブルに苦しみ約18分の出場で7得点に終わったことも大きく影響した。

だが、大勝した第2戦のスミスは、約25分の出場で17得点、オフェンスリバウンド8本を含む計17リバウンド、4アシストと攻守に大暴れ。150kgの体格を生かし、相手の激しいコンタクトを弾き飛ばしてシュートを沈める圧倒的なパワーを如何なく発揮した。

特に第4クォーター、琉球がクォーター開始から5連続得点で点差を11点に縮め、試合の流れが変わる可能性があった残り約7分40秒、オフェンスリバウンドをもぎ取ると、古川孝敏にアンスポーツマンライクファウルを受けながらバスケット・カウント。13点差に突き放すこのプレーが京都を勝利へと大きく近づけた。

第1クォーターにいきなり25得点を挙げるなど、この試合の京都はリーグ屈指の堅守を誇る沖縄の守備を見事に攻略した。しかし、スミスは「前日の試合では、開始から25分間は良かったが、そこから崩れてしまった。今日は最後まで良かった」と、何よりもディフェンス面が良かったことが勝因と見ている。

「ゴール下を支配しようとプレーした」

試合結果に連動する形で対照的な2日間だった自身のプレーについて、まずは初戦をこう振り返る。「昨日はフラストレーションを溜めてしまった。僕が同意するものであってもなくても、レフリーがファウルを吹く時は吹く。それに昨日は少し受け身になった部分もあり、リバウンドは取ったけどシュートが少なかった」

活躍した2日目は、4アシストが示すようにシューターを生かすことを意識しつつも、まずは自分がインサイドで強気にアタックする意識が良かったと考えている。「相手がダブルチームに来ることは、誰かがオープンになるということなので、パスを意識した。(綿貫)瞬、(内海)慎吾、(岡田)優介などみんな良いシューターで、彼らにパスをするのは好きだ。ただ、今日は試合開始からゴール下を支配しようとプレーし、それで流れを引き寄せることができたと思う」

地区首位対決を1勝1敗で終えたことにより、地区首位の琉球とのゲーム差は7のままと変わらない。だが、スミスは「7ゲーム差だけど、僕たちの目標は琉球をとらえること。地区2位でOKだとは思っていない」と、あくまで目指すのは地区チャンピオンと強調する。

勝利の日曜、ご褒美のドラゴンボール

「僕やジュリアンはチーム1年目、他にもチームに来てから2年以内の選手が多い。まだ互いのプレーを学んでいる途中で、試合を重ねていくたびに連携やケミストリーはどんどん良くなっている」とチームのさらなる進化に自信を見せる。

後半戦で勝ち星を増やしていくためには、何よりもディフェンスを向上させることが鍵になる。「多くのチームは90点、100点を取る力がある。僕たちもリーグでトップ5の得点力はあると思っている。ただ、大事なのはディフェンスだ。守備が悪かったら昨日みたいに大差で負けてしまう。ディフェンスが良かったら今日みたいに勝てるんだ」

最後にスミスといえば、脚に登場キャラクターのタトゥーを入れるほどの大のドラゴンボール好き。当然のように今、放送されている最新のテレビシリーズも欠かさずチェックし、「日曜の試合が終わった後、最新話を見ている。今日もこれから、ホテルに戻ったらすぐに見るよ。その後でケビンとドラゴンボールの話をするんだ。彼も大好きだからね」と話してくれた。

勝利の余韻に浸りながらのドラゴンボール。スミスがそんな至福のサンデーナイトを過ごす日が多くなる時、京都は相手チームにとってより脅威となってくるだろう。