シェーン・バティエ

顔面の前に手をやったディフェンスの意図とは?

現役時代に優勝2回を果たしたシェーン・バティエは、オールNBAディフェンシブチームにも2度選出されたトップクラスのディフェンダーとして知られている。そのバティエが、故コービー・ブライアントとのバトルを振り返った。

ポッドキャスト番組『The Brodie&The Beard』に出演したバティエは、ロケッツ時代にコービーと対戦した時のディフェンスについて言及。「彼と対峙する場合、自分のベストプレーが必要になる。メンタルも研ぎ澄まさないといけないし、ミスは許されない。それでも、やられてしまうんだ」と、バティエは笑う。

バティエがコービーの顔を覆うように手を広げてディフェンスしたシーンと言えば、まだ覚えているファンもいるかもしれない。ただ、どうしてバティエがこのような形の守備を選択したのかは知られていない。彼の意図は、コービー自身も気づいていなかったところもあった。

「データを駆使して抑える選手という意味では、彼は最高の『難問』だったよ。自分が彼の顔の前に手を出したディフェンスについては面白い話があってね。コービーは『そんなやり方は俺には通じない。筋肉が動きを記憶しているからな』と言っていたよ」

「あのやり方にしたのは、彼にミスショットを打たせるためではなかったんだ。彼はそう思ったみたいだけれど、違うんだよ。あんなディフェンスは通じないということを彼自身に証明させようとしたんだ。そのためには、コービーにとってのワーストシュート、ロングのドリブルジャンパーを放つしかなかった」

「シュートの成否なんてどうでもよかった。(ロングのドリブルジャンパーは)彼のシュート効率に害を及ぼすシュートだけれど、自分にとっては一番メリットがあるプレーだった。それがコービーとのマッチアップだったね。まさに、最高レベルのチェスの試合のようだった。今でもこの話をすると鳥肌が立つくらいだ」


理想は目の前の相手のプレーを止めることだとしても、その日の調子の良し悪しが影響してしまう。バティエは、二手三手先、もしくはそれ以上先の攻防に向けた駆け引きをしていたのだ。

バティエにとってのコービーは、それだけヒリヒリしたバトルができる相手だった。