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キャブズにトレードを要求した後、コービーに相談

昨年のNBAファイナル終了後、キャバリアーズにトレードを要求したカイリー・アービング。この事実は、本人がプロモーションのために来日したタイミングで世界中に伝わったのだが、その時点では先行きが全く予想できなかった。

トレード要求を受け、キャブズがサンズとのトレードを考えていると知ったアービングは、再建段階のチームでプレーする心得を聞くため、コービー・ブライアントに連絡を取ったことを明かした。

コービーは常に順風満帆なキャリアを送ったわけではない。シャキール・オニールとのデュオでレイカーズに3連覇をもたらしたが、その後にシャックとの関係が悪化すると球団にトレードを要求したこともある。レイカーズはコービーを選択し、シャックが去るのだが、その結果として2002年以降は優勝から遠ざかった。

それでもコービーは『チームの顔』としてプレーし、2006年にはNBA歴代2位の1試合81得点を達成。パウ・ガソルという相棒を得ると、2008年から3年続けてファイナルに導き、09年と10年に2連覇を果たした。

幼い頃からコービーのプレーを見て学んだというアービングは、常に順風満帆なキャリアを送ったわけではないコービーの背中を見て、「最終的には自分次第」と学んだという。

アービングは言う。「周りからは『こうした方がベストだ』と言われるけど、コービーは自分のキャリアにとってベストだと自分が思うことをやっていた。プロでは試練の時期も経験する。彼は、対応する方法を自分で見つけたんだ」

キャブズが優勝を狙えるチームで、その主力選手である以上、アービングは周囲と調和して日々を過ごすこともできた。だが、それは妥協である。自分を貫くコービーの姿勢を見て、必ずしも調和路線が正しいとは限らないことを学んだ。「必ずしも調和する必要がないことを彼から学んだ。誰でも、突出した存在になることができる」

今シーズン開幕前にセルティックスにトレードされたアービングは、移籍1年目からチームのリーダーとして若手を束ねている。同じく新加入選手として期待されたゴードン・ヘイワードは、開幕戦で重傷を負い長期欠場を余儀なくされたが、セルティックスは東カンファレンス首位をひた走っている。コービーほどの自我をコート上で見せているわけではないものの、アービングはあこがれの存在を参考に、自身のリーダー像を作り上げているところだ。

レイカーズにとって最大のライバルであるセルティックスにも、『コービー・イズム』は受け継がれている。