文=丸山素行 写真=B.LEAGUE
相手のミスにつけ込み、序盤で大量リード
新潟アルビレックスBBと横浜ビー・コルセアーズの一戦。横浜は2試合連続で1点差負けを喫し、終盤の試合運びに難があることを露呈していたが、この試合では要所を締めて、序盤に得た大量リードを守り、86-81で逃げ切った。
横浜はウィリアム・マクドナルドが欠場したが、序盤から攻守ともにアグレッシブにプレーし先手を取る。ディフェンスでは簡単にボール回しをさせずパスコースを先読みし、ターンオーバーを誘発した。スティールから川村卓也と満田丈太郎が速攻を決め、思い切り良くシュートを放ち、開始5分で15-5と2桁のリードを奪った。
ホームの新潟は得点源のダバンテ・ガードナーが横浜のトラップディフェンスの前に得点を伸ばせず。また城宝匡史と遥天翼がともに第1クォーター中盤で2つ目のファウルを犯してベンチに退き、ハシーム・サビート・マンカのブロックショットを警戒した新潟はオフェンスが停滞した。
横浜は川村の8得点を筆頭に7人が得点。26-9とスタートダッシュに成功し、第2クォーターに入ってもダブルチームのタイミングなどを変えてガードナーを封じた。ガードナーはこれで冷静さを失い、このクォーターだけで4つのターンオーバーを犯し、前半で7得点と沈黙する。
後半に入っても横浜のペースは変わらない。川村がデザインされたプレーから連続得点を挙げ、満田がセカンドチャンスポイントや速攻で得点してリードを広げた。
連続得点を与えず、逃げ切りに成功
新潟はガードナーにボールを預けるだけの単調な攻めにようやく変化が見られ、追い上げを開始。スクリーンでガードナーのマークを外し、流れの中でガードナーを強調することでオフェンスを活性化させた。一時は18点のビハインドを背負ったが、第3クォーター終了時点で13点に縮め、ガードナーと畠山俊樹の得点でついに点差を1桁に戻す。
横浜の選手の脳裏には、前節の2試合連続の逆転負けが浮かんだはずだ。しかし、この試合では追われるプレッシャーに打ち勝った。ジェフリー・パーマーが3ポイントシュートを沈めて再び点差を2桁に広げる。残り5分40秒にまた1桁に詰められたが、直後のオフェンスで川村が3ポイントシュートを決め返した。
残り1分41秒には城宝に3ポイントシュートを決められ79-74と肉薄されるも、パーマーがフリースローを獲得し新潟の流れを断ち切る。残り1分に川村がフリースローを沈め、82-75と3ポゼッション差にしたところで勝負アリ。最後まで相手に流れを渡さなかった横浜が第1クォーターのリードを守り切り、勝利を手にした。
「チームとして1歩成長できたゲーム」
勝利した尺野将太ヘッドコーチは「今週は何があっても自分たちを信じて40分間戦おうと話しました。チームを信じて最後まで戦えた結果だと思います」と試合を振り返った。
追い上げられる場面もあったが、最後まで崩れなかったことについては「コートに立っている5人が自分たちのやるべきことを分かって、勝つことだけを信じてプレーしてくれた結果です」と胸を張った。
要所で得点し、ゲームハイの28得点を挙げた川村は「先週は良いバスケットを2試合しながらも逆転したことを1週間反省して、今日の勝ちに結びつけたので、チームとして一歩成長できた」とコメント。
「誰かが欠けた時にチーム一丸となってまとまる姿勢が40分間できていましたし、みんながカバーして我慢した時間帯が多かった。ウィルがいないのもでかいですけど、それを補う力が僕たちにはできつつあると感じています」と手ごたえをつかんだ様子だった。
新潟は前半だけで14のターンオーバーを記録するなど、序盤の大きなビハインドが敗因となった。また課題となっている日本人選手の得点力不足を露呈し、2桁得点を記録した日本人選手がいなかったことも悔やまれる試合となった。