文・写真=鈴木栄一

地味なハードワークを徹底してチームを下支え

1月26日、川崎ブレイブサンダースは千葉ジェッツとのホームゲームに87-80で勝利。第4クォーターに猛追を受けたものの、第3クォーター終了時点で26点の大量リードを奪い、余裕を持っての逃げ切り勝利だった。

川崎にとって大きかったのは第1クォーターに28-13と出だしで突き放し、試合の主導権を握ったこと。特にファストブレイクで11得点と、リーグ随一の破壊力を誇る千葉のトランジションオフェンスのお株を奪う攻守の素早い切り替えによる得点量産が光った。

このロケットスタートに大きく貢献したのがジョシュ・デービスだ。このクォーターで6得点3リバウンド1アシスト1スティールと攻守で躍動し、チームに勢いを与えた。

「良いスタートを切ることができた。相手のトランジションポイントを抑えるというゲームプランを第1クォーターでしっかりできて、第4クォーター以外はうまくいっていた。自分のパフォーマンスは、まずまずだったと思う。様々な小さなことでチームの勝利を助けることができた」

このように試合を振り返るデービスだが、この小さなこととはスタッツに出ないようなタフなディフェンス、ルーズボールに絡んでマイボールに導くといった、地味ではあるがチームを支える大切な仕事のことを指す。

「自分の役割は、間違いなくリバウンドだ。多くのリバウンドを取り、小さな仕事もやってチームにエナジーを与えたい」と語るように、デービスの最大の持ち味はリバウンド。中でもオフェンスリバウンドは、リーグ随一の強さを発揮している。

この点について聞くと「自分には運動量がある。すべてのシュートに対してリバウンドを取りに行っている。オフェンスリバウンドを取れる秘訣はあるのかと聞かれるなど、そんなものはなくて、いつもあきらめずにボールを追っているだけだよ」と、飽くなき執念こそが理由だと明かしてくれた。

「ベストの力を発揮できるようになりたい」

インサイドの選手でありながらボールハンドリングに優れ、自らボールを運んでいく姿も目立つが、デービスにとってはバスケットボールを始めた頃から変わらないスタイル。「子供の頃はポイントガードだった。そして、高校に入ってからはスモールフォワードだったけど、ポイントフォワードといった感じでいろいろな役割をやっていた。ボールハンドリングには自信がある。これまでと同じプレースタイルだよ」

昨シーズンは島根スサノオマジックの一員としてB2を戦っていたデービスにとって、B1への昇格、さらに激戦区である東地区の川崎でプレーすることは環境の激変を意味する。ただ、本人は「B1に上がることで選手のレベルは上がり、より競争が激しくなっている。全体的にサイズアップとなり、特に日本人がより大きく、よりフィジカルになっている」と前置きしながらも「これまで様々なリーグでプレーしてきたから、新しい環境へのアジャストには自信がある」と、特に苦にすることなくここまでやってきた。

「今シーズンから加入したので、まだチームにアジャストしている途中でもある。もっと良くなっていけるはずだし、自分の役割をしっかりこなし、ベストの力を発揮できるようになりたい」と、さらにプレーの質を上げていけると自信を見せる。

ハッスルプレーを厭わない『縁の下の力持ち』

また、年末に加入したルー・アマンドソンの存在も大きな助けになっている。「ルーは僕と同じような役割をこなしてくれる。彼は自分へのプレッシャーを軽減してくれる」と、より伸び伸びとプレーできるようになっているようだ。

ニック・ファジーカス、辻直人による破壊力抜群のワンツーパンチを有する川崎だが、彼らが本領を発揮するためにはまずはディフェンス、リバウンドの部分でチームの下支えがしっかりすることが欠かせない。それだけにハッスルプレーを厭わないデービスの存在は、縁の下の力持ちとしてシーズン終盤に向けより重要となっていくはずだ。