文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

最初のタイムアウトで修正、自分たちの流れに

リーグ再開となった栃木ブレックスvs滋賀レイクスターズの一戦。平日ナイトゲーム開催とあって、ブレックスアリーナは2802人と空席が目立ったが、栃木は『らしさ』を存分に発揮し、観客に上質なバスケットを披露した。

立ち上がりは滋賀の先行を許す。並里成を起点とするピック&ロールに連動した合わせの攻めに、立て続けに守備を破られ失点するが、開始3分、2-8の場面で取ったタイムアウトですぐさまアジャスト。ジェフ・ギブスが揺さぶりに動じず、ペイント内にダイブしてくるフィニッシュ役の選手だけを見てきっちりつぶすことで滋賀の得点を止めた。

すると滋賀は新外国籍選手のベンキー・ジョイスを投入。この試合がデビュー戦となったジョイスは自らボールをプッシュし、強引に仕掛けては接触を受けても正確なフィニッシュを放つバランス感覚を見せ、立て続けにバスケット・カウントをもぎ取る。オフェンスリバウンドを拾ってそのままねじ込む得点も含め、このジョイスが大暴れするのだが、栃木が助かったのはジョイスのフリースローがとにかく入らないこと。前半7本あったフリースローを1本しか決められずに得点が伸び悩む間に、栃木はリードを保ちつつ、このジョイスのドライブにもアジャストした。

ジョイスはダブルチームも打ち破る強力な突破力を持っているが、ボールをもらいに外に開いた時もマークを離さず、前を向かせないダブルチームでドライブを封じる。並里に対してはプレッシャーをかけて高い位置で足を止めさせ、フロントコート陣との連携を分断。インサイドは相手の動きに先んじて収縮して、合わせのプレーを許さない。これで滋賀の攻めを機能不全に追い込んだ。

強力なオフェンスを持つ一方で単調だった滋賀

滋賀はルーズボールにダイブした並里から狩野祐介への速攻、ディオール・フィッシャーとジョイスがタフショットを沈めて粘るが、栃木がターンオーバーを誘発してのイージーシュートの差で41-34とリードして前半を終える。試合が進む中でアジャストする守備はハーフタイムを経てさらに隙のないものとなった。

滋賀の攻めは強力ではあったが単調で、栃木ディフェンスの前に沈黙。滋賀の攻め急ぐシュートがリングに嫌われる一方で、栃木は冷静にボールを動かしセレクション良く放つシュートを次々に決めてリードを広げる。栃木は第3クォーターのラスト5分を無得点で切り抜けると、59-45で始まった最終クォーターも気を緩めず、攻守にバランスの取れたプレーを展開。

残り7分22秒の時点で前からのプレッシャーでターンオーバーを誘発、遠藤祐亮が速攻を決めて67-47と20点差。これで早々に勝負を決してしまった。結局、最終スコア80-64で栃木が完勝している。

滋賀はジョイスが23得点、フィッシャーが15得点10リバウンド、並里が11得点5アシストと活躍したが、他の選手が特にオフェンス面でインパクトを残せず。3ポイントシュートはラスト1分に高橋耕陽が決めた1本のみの成功で、試投数も9と伸びなかった。逆に栃木はギブスの18得点を筆頭に、プレータイムの短い前村雄大や落合知也を含むベンチ入りした12選手全員が得点。持ち味である堅守が機能し、プレーセレクションの良いチームオフェンスで上回った。ターンオーバーからの得点は滋賀の5に対し栃木が19。まさに堅守でもぎ取った勝利と言えよう。

試合は明日も残されているが、チームの総合力を見せ付けた栃木の優位は揺るがない。滋賀は今日の試合中に嫌と言うほど見せ付けられた対応力を、明日の試合までにどれだけ見せられるか。明日の第2戦もブレックスアリーナで19時5分ティップオフとなる。

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