文・写真=鈴木栄一

『謙虚なエース』はMVP受賞にも恐縮

1月8日、千葉ジェッツは天皇杯の決勝でシーホース三河に89-75で快勝し、昨年に続いての大会連覇を達成した。今大会の千葉は、年末に行われたBリーグの試合で富樫勇樹が負傷。直前になってチームの大きな柱を欠くことが決まる非常事態で大会を迎えながら、代役で先発ポイントガードを務めた西村文男を筆頭にチーム全員がステップアップ。富樫不在の影響を感じさせない戦いで、ベスト8からすべて危なげない試合運びで頂点に立った。

チーム一体となった全員バスケットボールが光った千葉であったが、その中でもゴール下の要として攻守に渡って安定したプレーを見せ続けたギャビン・エドワーズが大会MVPを受賞した。

チームトップの平均得点を挙げているエドワーズは誰もが認めるエースであるが、常に自分の活躍はチームメートの助けがあってこそと強調、『エース』と呼ばれることにもただただ恐縮する謙虚な選手だ。それは今回のMVP受賞についても同じで、「自分の受賞には驚いている。みんな大会を通して良いプレーを見せていたからね。ただ、受賞できたことには素晴らしい気分だよ」と話している。

また、どんな状況でも平常心でプレーすることを心掛けるエドワーズらしく、富樫が不在でも自分がいつも以上にチームを牽引しなければいけないといった意識はなかったと振り返る。

「(西村)文男、阿部(友和)のポイントガードを信頼していた。2人ともステップアップし、見事なプレーだった。自分が今まで以上に自分が得点を挙げなればいけないといったプレッシャーを感じることはなかったよ。僕たちは誰が出ても同じシステムでプレーしている。自分のプレースタイルに変化はなかった」

天皇杯ファイナルラウンドの3試合で平均21得点

決勝の相手である三河は、昨季まで4シーズンに渡って在籍していた古巣。そして、今シーズン開幕前に移籍してから今回が初めての対戦となったが、それでも「古巣相手ということをあまり意識しないようにしていた」と、普段と同じメンタルでプレーし、いつも通りの活躍へとつなげた。

このように冷静沈着なエドワーズではあるが、「ジェイアールからは多くを学んだ。彼は自分が日本にきた時、すでにトップ選手としての地位を確立していた。彼と一緒にプレーしたことは、今の自分の成功に大きな影響を与えている。彼との対戦はエキサイティングだった」とコメント。かつての指南役であった桜木ジェイアールとの対決を楽しんでいた模様だ。

天皇杯ファイナルラウンドの3試合においてエドワーズは、平均21得点、9リバウンドと大黒柱として上々のパフォーマンスだった。しかし、本人は「全体を通しては良かったと思うけど、もっとリバウンドを取れた。特に決勝では相手に多くのオフェンスリバウンドを取られ、そこから得点につなげられてしまった」と反省点も忘れていない。

「脇役だった」2年前に続き、今度はMVPで天皇杯制覇

エドワーズにとって天皇杯のタイトル獲得はアイシン時代の2016年に次いで2度目となるが、最初のタイトルと比較して意味合いは違ってくる。「アイシンで天皇杯に優勝した時は、まだ経験不足なところもあり脇役といった存在だった。今はチームでより重要な存在になっていると思う。より大きくチームに貢献できてのタイトル獲得はうれしいものさ」

今オフに移籍した理由について「三河は強豪チームであり、快適に過ごしていた。ただ、慣れ親しんだ環境から離れ、新しいスタートを切る時期だと感じたんだ」と、さらなる成長を求めての新しい挑戦をしたかったと語るエドワーズ。天皇杯優勝の原動力となり、さらにはMVP受賞と早くも大きな結果を残したが、いつも謙虚かつ進化に貪欲な彼は、このまま油断も驕りもなくリーグタイトルとの2冠という新たな目標に向かって邁進するはずだ。