田臥勇太

今シーズンの田臥勇太は開幕から13試合連続で先発出場を果たし、腰痛に苦しんだ昨シーズンのイメージを覆すスタートを切ったが、開幕から1カ月余りが経過したところで左膝半月板の損傷で長期離脱を余儀なくされた。新型コロナウイルスの感染拡大によりシーズンが中止となり、全国に緊急事態宣言が発令されるこの時期に田臥の心境を聞いた。

「体幹トレーニングやストレッチ、ヨガをメインにやっています」

──チームの活動も基本的にストップしてしまったと思いますが、現在はどのような生活を過ごしていますか?

外出できないので、できることをしながら家にいます。僕の場合は膝のケガがあったので、膝の状態を良くするために体幹トレーニングやストレッチ、ヨガを今はメインにやっていて、トレーナーと相談しながら進めています。

──半月板損傷は個人差はあれ、復帰に4カ月から6カ月かかると聞きますが、現在の回復具合はどの程度でしょうか?

ようやく練習に参加できるかな、ぐらいの状況まで来ています。本当はシーズンの終盤に間に合えば、という感じでリハビリは続けていました。

──そうなると、よりこのタイミングでのシーズン終了は悔しいのではないでしょうか?

バスケット選手としてはどの選手もプレーしたいです。ファンの皆さんも応援したいし、見に行きたいという思いを持ってくれてると思いますけど、世の中の状況を見ていると、それどころではないというのが正直な気持ちです。アメリカの知り合いから現地の状況を聞くとなおさらというか。今の状況では命が一番だと思うので、早い段階でシーズンを中断する決断をしてくださったリーグ関係者の方には感謝しています。

──自粛期間が続き、自宅での生活に辟易している人も多いです。田臥選手は何をしてリフレッシュを図っていますか?

僕はゲームもしないので、NBAの試合を見たり、過去の映像を見たりですかね。僕はルーティンを決めるタイプで、朝起きて入念にストレッチをしてご飯を食べて、映像を見てまたストレッチやエクササイズをしてご飯を食べて、とやっているともう一日が過ぎちゃうんです(笑)。

あとは家の掃除をしたり。やっぱり家にいるとゴミが出るなあって思いながら(笑)。あと普段は見れない情報番組を見るようになりましたね。東京の話が多いですけど、栃木はどうなのかとローカルニュースを見ることが増えました。

──エクササイズも徹底していますね。外出するのは食料品の買い出しぐらいでしょうか?

不必要な外出はせず家にいるようにしています。食事もテイクアウトにして家で食べています。でも、普段やれないことができるチャンスと少しでもプラスに考えて、リハビリをメインに家の中でできるエクササイズをやっていますね。

──バスケができずにウズウズしている子供たちも多いと思います。彼らにアドバイスできることはありますか?

家の中でできる範囲でボールを触ったり、ドリブルをついたり。あとは人のプレーを見る時間もあるので、自分のプレーを研究してみたり。新型コロナウイルスが終息して、思い切りバスケができるようになった時に、少しでもドリブルやハンドリングが良くなったと思えるようにやってみてください。

田臥勇太

「バスケットをやりたいという思いしかない」

──中途半端なシーズンの締めくくりとなりましたが、今シーズン限りで折茂武彦選手がとうとう引退となります。日本のバスケ界をともに背負ってきた立場として、何か思うところはありますか?

昔から面倒を見てもらっていた大先輩です。引退を発表される時に、「明日発表するから」と前もって連絡をくださったんです。あの年齢であの活躍ができるというのは後輩から見ても「スゴい」の一言ですよね。一緒にプレーしたり、対戦できたりしたのはありがたかったです。

──田臥選手は2シーズン連続でケガでフル稼働とはいきませんでした。引退など頭になく、復帰へのモチベーションがブレることは全くありませんか?

バスケットをやりたいという思いしかないですね。あとはチームメートの頑張りだったり、ファンの方が毎試合「戻って来るのを待っています」と声をかけてくださって、それが本当に励みになっています。でも、バスケットをやりたい思いは変わらないですし、それがあるからこういう状況も過ごせているんだと思います。もう来シーズンが待っていますから。

──河村勇輝選手との対談を拝見したのですが、河村選手が「自分が戻って来るまで田臥さんに頑張ってもらって」と語っていました。彼はこれから大学でプレーすることになるので、最低でもあと4年間は現役を続けるということに(笑)。

そうですね、引退は考えていないです。ああやって若くて良い選手が出てきて、対戦できたらなというのもモチベーションに繋がります。間違いなく彼は元気なわけですから(笑)。

──来シーズンのことを考えるにしても、まずは普通にスポーツの試合ができるようになるのが大事ですね。でもそうなると新フォーマットのことに意識が行ったりします。東西の新しいカンファレンスは、東地区に強豪が偏ったようです。

今シーズンは早く終わってしまいましたが、来シーズンは通常どおり迎えられたらと思っています。それに東は常に激戦区ですから。結局どのチームともやりますし。これも初めての試みですから、リーグとしても各チームとしても、先に繋がるフォーマットになれば良いなとは思います。

──では最後に、あらためてファンの方へのメッセージをお願いします。

いつも応援していただきありがとうございます。自分もこういう時だからこそバスケがしたいと強く思っています。大変な状況が続いてますけど、みんなで力を合わせて乗り切って、皆さんとまたバスケットを楽しめる日が来ることを楽しみにしています。

──ありがとうございました! ちなみに、今日この後はどうされるんですか?

これからまたストレッチします(笑)。