文・写真=鈴木栄一

悪い流れを断ち切って快勝劇につなげる働き

12月22日、川崎ブレイブサンダースは大阪エヴェッサに89-73で快勝した。この試合、川崎は第3クォーター終了時点で20点差以上をつけるなど余裕の勝利ではあったが、第2クォーター序盤には危ない場面もあった。

第1クォーターで2桁のリードを奪った川崎だが、第2クォーターにオン・ザ・コート「1」の状況でニック・ファジーカスを休ませた時間帯に1点差まで追い上げられる。この悪い流れを断ち切ったのが藤井祐眞だった。直後のオフェンスでバスケット・カウントを決めて3点を挙げると、さらに速攻からレイアップを決める。この連続得点で試合の主導権を取り戻したことが、快勝劇へとつながった。

前半の川崎は篠山竜青と辻直人の先発ガードコンビが揃って0得点。それにもかかわらず8点リードで折り返すことができたのは、前半だけで10得点をマークした藤井の貢献があったからこそだ。

あこがれの先輩、安部潤とのマッチアップ

勝敗を分けるターニングポイントとなった第2クォーターで肉薄されるも、すぐに再び突き放せた場面を藤井は次のように振り返る。「普段だったら第2クォーターはジョシュが出ますが、いつもと違うメンバーだったこともあって噛み合わず相手に追いつかれてしまいました。ただ、そこからタイムアウトを取ったりして、気持ち的に落ち着けたことでいつものプレーに戻りました。僕が連続得点をしましたけど、チームとして平常心でいつも通りのプレーができました」

また、試合を通しての勝因について「出だしから気持ちを前面に出して戦うことができたこと」と振り返る藤井だが、彼にとって今回の大阪戦、モチベーションをいつも以上に高める要因があった。

「大阪の安部潤さんは、小中学校と同じでずっとあこがれていた先輩です。こういう舞台では初めての対戦、マッチアップだったので、個人としていつもとは違う気持ちで試合に臨むことができました。前半でマッチアップした時は楽しめましたし、エナジーを出してアグレッシブに行くことができて良かったと思います」

激しいプレッシャーをかけるディフェンスなどハードワークに定評のある藤井だが、5つ年上であるあこがれの先輩との待望の対戦は彼にさらなるエネルギーを与え、よりアグレッシブなプレーを引き出していた。

「79得点を超すような点数を取ってもらいたい」

これで川崎は、10月中旬以来となる3連勝。「初戦の負けが多い中、試合前のミーティングで連勝を伸ばしていこう、そのためには試合の入りから大事に行こうと話していました」と語る藤井は、さらにチームの一体感が強まっていると見ている。「個人としてだけでなく、チームとして一つのルーズボールだったり、リバウンドを取るという意識の共有ができている。チームがまとまって良い感じが出ています」

ちなみに、同一カード2戦目となる本日23日はウインターカップの開幕日。藤井といえば、大会記録である1試合79得点の記録保持者であるが、「高校生のみんなには、79得点を超すような点数を取ってもらいたい。一つの目標として、この記録を超すくらいの気持ちでやってほしいです」とエールを送っている。

そして藤井自身は「年内ホーム最終戦を勝利で終わらせたい。そして年内最後のアウェーとなる渋谷戦を良い形で終えられれば天皇杯につながります」と、同一カード連勝に向けての強い意気込みを示している。高校生に負けないエナジー全開のプレーで、今日も藤井は川崎に勢いをもたらしていくはずだ。