文・写真=鈴木栄一

琉球を破り「ディフェンスと我慢の勝利」

12月20日、京都ハンナリーズは敵地の沖縄市体育館に乗り込み琉球ゴールデンキングスと対戦。残り5秒での決勝点により、同じ西地区のライバル相手に69-68で競り勝った。この試合、永吉佑也はシュート4本中4本成功を含む10得点をマーク。身体を張った守備でも奮闘した。

「ディフェンスと我慢の勝利です。あとは最後のクラッチタイムで落ち着いてプレーできたところが良かった」

試合をこう振り返る永吉だが、オン・ザ・コート「1」の時間帯における4番ポジションだけでなく、外国籍選手2人と一緒に出場するビッグラインアップがうまく機能していた点を聞くと「ビッグラインアップでは、オフェンスでスペーシングを特に気をつけています。ディフェンスではスイッチもたくさんできる布陣ですので、いつも以上にコミュニケーションをよく取ることを意識しています」と続ける。

今シーズンの京都の外国籍選手を見ると、150kgの巨体によるパワープレーが光るジョシュア・スミス、昨シーズンから在籍しフィジカルの強さとフットワークを備えたマーカス・ダブは、ゴール下を主戦場とするインサイドプレーヤー。ただ、滋賀から加入し3人の中で最も得点力のあるジュリアン・マブンガは、203cmのサイズを持つが昨シーズンはリーグで3ポイント試投数が最も多かった選手であり、アウトサイドからの攻めを特徴としている。

マブンガの持ち味をより生かす3番ポジションで起用するには、永吉がオン「2」でも4番の役割をこなす必要がある。今回の試合では、その期待にしっかり応えていた。現在、京都はダブが故障者リスト入りしており、代役で獲得したローレンス・ブラックレッジは周囲との連携を図っている最中だ。それだけに、ダブが復帰するまではよりマブンガ、永吉、スミスのビッグラインアップの重要性はより高くなってくるだろう。

「もっと上を見なければいけない」

川崎ブレイブサンダースに所属していた昨シーズンと比べ、京都での永吉はプレータイムを大きく伸ばしている。15.1分から26.2分へ。川崎ではプレータイムで9番目の選手だったが、京都では最も長くコートに立つ選手になっている。特にここ一番の時間を、ベンチではなくコートで過ごしていることは大きな違いだ。

「バスケットがちゃんとできる環境に身を置けている。ずっとこの環境が欲しくて移籍してきたので、今は良い状況です」と充実ぶりを語るが、一方で現状に満足してはいない。

「今の環境に甘んずることなく、チーム内にライバルがいることを意識していますし、もっと上を見なければいけない。代表で活躍することも目標なので、チームでもらっているチャンスをしっかり生かしていきたいです」

代表といえば永吉は、11月下旬に行われたワールドカップ一次予選の2試合において予備登録メンバーには入ったが、12名の代表メンバーからは漏れた。チームの勝利のため、そして代表メンバー入りのためにも今、持ち前のパワーに加えてスピード強化を目指している。

「大きい選手がドライブしてキックアウトを」

「アウトサイドのシュートを打つようになっていますが、ディフェンスを動かすにはやはりドライブもしなければいけないです。チームとしても大きい選手がドライブしてディフェンスを縮めてキックアウトしたい。代表でもそういう動きが求められている。それを意識してやっているところです」

代表へのこだわりとともに、もちろん京都の柱としてチームをもっと牽引したいとの思いも強い。「まだ試行錯誤の部分はありますが、京都の永吉として認められるようになったらうれしいです。今はもっと(浜口)炎さんのバスケを体現するために、新しい部分を出していかなければいけない。みんなでボールをシェアして戦えるのが京都の良いところだと思うので、それをもっとできるようにしていきたいです」と意気込む。

琉球が頭一つ抜け出している感もある西地区だが、京都がその流れを止めて首位争いに絡んでいけるのか。そのキーマンが永吉だ。チームで結果を出し、日本代表入りを貪欲に狙っている彼の姿勢は、京都に活力を与える。