NBAドラフトの延期は避けられず、関係者は困惑
NBAは3月11日のジャズvsサンダーの試合がティップオフ直前に延期となり、リーグ全体もストップ。新型コロナウイルスの影響がアメリカでも大きな広がりを見せる中、NBAも再開の目途が立たない。現時点で有力なのは、6月にレギュラーシーズンを再開させ、8月にファイナルを行うスケジュール。全体的に2カ月の後ろ倒しとなる。
こうなると毎年6月下旬に開催されるNBAドラフトも影響は避けられない。『ESPN』の見立てによれば、今年のドラフトは開催延期が濃厚。各チームのオーナーも、可能な限りバスケットボール試合を行うことでの収入を優先し、ドラフトは後回しになる、という見方が強い。
先日、NCAA(全米体育協会)は、コロナウイルスの拡大を防ぐため、NCAAバスケットボール・トーナメントの中止を決定。NBAスカウトにとっては指名候補のパフォーマンスを直に見る機会がなくなってしまった。また現時点では、ドラフトにエントリーした選手を集めてテストを行うドラフトコンバインが実施されるかも分かっていない。
すべての試合がストップしている今、ドラフトまでに選手のプレーを視察する機会は限られたものになる。その機会が全くないままドラフトを迎える可能性もある。NBAドラフトで指名されるかどうかは、単にプレーヤーとしての力量だけではなく、人間性、素行の良し悪しも関係してくる。本来であれば各チームは指名候補となる選手をワークアウトに招き、面談を行ってその人物を推し量るもの。それでも移動や人との面談がリスクとされる今は、それもままならない。
『ESPN』は、ある球団のアシスタントGMの話として、現時点までにドラフト指名候補に関する情報を把握できているかは、それぞれのスカウトの手腕次第だと伝えた。
さらに気の毒なのは選手だ。全米No.1を決める戦いの場が奪われ、NBAの各チームに向けたアピールの場も奪われてしまった。この状況で有力選手は今年のドラフトのリスクを嫌い、大学のチームにもう1年残ることも検討するだろう。それでも4年生はそうもいかない。
NBAとしては事態の推移を見守りつつ、各クラブの収益を確保しつつバスケットボール人気をできる限り損なわないための判断が求められる。同時に、NBAの将来を担う若者たちへの配慮も必要になる。