「みんなが感じている不安の度合いを案じている」
新型コロナウィルス感染拡大の危険性を最小限に抑えるため、NBAは2019-20シーズンの中断を決断した。
ジャズのルディ・ゴベア、ドノバン・ミッチェルに続いて新型コロナウィルス検査の陽性反応が出る選手が続出する可能性が十分に考えられ、レギュラーシーズンが再開されるのか、そしてプレーオフが実施されるのどうかも分からない状況となった。
選手は優勝をかけて戦う機会を失い、ファンはバスケットボールを見る楽しみを失ってしまった。だが、それ以上に打撃を受けるのが、30チームの会場で働くスタッフだ。試合予定が全て白紙となり、収入面で大きな影響を受けてしまうスタッフも出てくるだろう。そんな中、キャバリアーズのケビン・ラブが『男気』を見せた。
ラブは、キャブズのアリーナスタッフら、サポートスタッフを経済的に支援するため、自身の財団を通じて10万ドル(約1050万円)を寄付することを発表。ラブは、大勢のスタッフと以前撮影した画像に、次のメッセージを加えてInstagramに投稿した。
「ストレスを感じる状況を前にすると、それぞれの反応は異なる。感染症である新型コロナウィルスの突発発生に対する不安、恐怖に打ちのめされてしまうことも考えられる」
「僕たちは、バスケットボールの試合を通じて、大きな諸問題に対して声を上げてきた。共に立ち上がり、革新的なリーグとして、選手、ファン、コミュニティを気にかけてきた。僕は、みんなが感じている不安の度合いを案じている。そこで、ケビン・ラブ財団を通じて、NBAのシーズン中断により突然大きな変化が生じてしまったキャブズのアリーナスタッフ、サポートスタッフを支援するため、10万ドルを寄付させてもらう。この危機的状況の中、僕以外の人間にも協力してもらい、僕たちのコミュニティーをサポートしてもらいたい」
「パンデミック(感染病の大流行)という言葉は、単に医学用語だけではない。良くないイメージ、他人を恐れるという側面を持ち、あらゆる範囲における個人、社会に影響を及ぼす言葉だ。パニックや恐怖が助長される効果によって、精神的なダメージを受けやすくなるかもしれない。周りの人に優しく接しよう。もし恐怖を感じていなくても、人々が感じている恐怖を理解し合おう。今の時期は安全に過ごし、情報に基づいた決断を下そう。各々で体調管理をし、助けが必要な人に手を差し伸べよう。イベント中止に困っている地元のチャリティ団体を支援する活動でも、もしくは同僚や、家族の状況を確認する形だって構わない」
心意気を行動で示したエースに続いて、キャブズも会場スタッフ、サポートスタッフへの報酬を予定通り支払うことを発表。
以前、パニック障害に苦しんだ過去を告白したラブは、痛みを知るNBA選手だ。彼は今、恐怖に屈するのではなく理解し、適切な判断に基づいて行動することの大切さを人々に訴えかけている。