写真=足立雅史

「問題はオフェンスで、目標の78点に届かない」

今日、男子日本代表の最終メンバー12名が発表された。7月4日に初戦を迎える五輪世界最終予選(OQT)に向け、チームはいよいよ最終調整に入る。

OQT、日本の入ったベオグラード会場では、6チームの争いを勝ち抜いた1チームだけがリオ行きの切符を手にする。ライバルはすべて日本よりもFIBAランキング上位、特にFIBAランク6位のセルビアは東欧が誇るバスケット大国であり、開催国のホームアドバンテージもある。まさに「奇跡」を起こさない限り、リオ五輪出場はない険しい道だ。

中国・蘇州で行われた『Atlas Challenge』では最下位に終わったが、あくまでチーム作りのための大会である。厳しい結果の中にも収穫はあった。長谷川健志ヘッドコーチはこう振り返る。「ディフェンスは非常に良かった。フルコートもマンツーのチームディフェンスもアグレッシブにできたし、去年から練習してきたブロックゾーンや、そこからのチェンジングも非常に良くて、そこは成果があった」

もちろん、課題もたくさんある。「問題はオフェンスで、目標の78点に届かない。3ポイントのアテンプトもまだ少ない。練習時間が短いので、日本のアドバンテージをどこのプレーで発揮するか、そこを整理しないとスコアは伸びないと思っています」

メンバーは絞り込んだが、スタメンの5人についての考えは「そこはまだまだ」だそうだ。「ある程度、7人ぐらいにはイメージしていますが、まだもうちょっと練習して、フランスでの試合を見て決めたい」

長谷川ヘッドコーチが語る12名の代表選手

今回、長谷川ヘッドコーチはメンバー12名の役割、期待する部分についても語ってくれた。それぞれについて紹介したい。

田臥勇太/PG 0
「ポイントガードとしてゲームを落ち着かせるのが一番です。我々が経験したことのない世界最終予選。そういう場に臨むに当たり、バスケットの楽しさや厳しさを一番分かっているのは田臥だと思っています。そういう選手にキャプテンを任せました」
橋本竜馬/PG 11
「アグレッシブさではチームでナンバーワンだと思いますので、そこを発揮してほしい」
比江島慎/PG 6
「ポイントガードと2番の両方で使う可能性がありますが、スコアも取れるしパスもできる。このチームでは一番、一対一での打開力がある。それをどうやってこのチームの中でうまく発揮できるか」
辻直人/PG 3
「3ポイントシューターですが、その中で一番パスがうまいのでそこも期待したい」
松井啓十郎/SG 16
「これも完璧な3ポイントシューターで流れを変えられます。ベンチスタートになる時が多いと思いますが、このKJの3ポイントシュートはチームに勢いを与えるので、それを期待したい」
古川孝敏/SG 25
「やっぱり3ポイントシュートと、3ポイントだけでなくディフェンスのアグレッシブさが非常にこのチームにとってプラスになります」
広瀬健太/SF 42
「日本で思い切ってゴールにアタックできる選手は少ないのですが、広瀬はその後の状況云々を別にしてもゴールにアタックできる選手。ちょっと弱気になったり、オフェンスで停滞する時間帯が必ずあります。そこで思い切ってゴールにアタックする、あるいは思い切り走ってチャンスを作る、そういうところで期待したい」
渡邊雄太/SF 12
「2メートルを超えているこの身長でボールハンドリングも良いし、走れます。そういう意味ではオールラウンダーとしての活躍を期待したい。ただ、まだまだフィジカルは弱いので、そこの準備をゲーム中にやっぱり意識しないと。3番ポジションでプレーしてもらいたいと思っています」
小野龍猛/SF 34
「今回はパワーフォワード、4番で使う場面が多いと思います。彼のバスケットのうまさ、プレーヤーとしてのずる賢さの部分に期待しています。彼が点を取るより、ゲームの中でうまい繋ぎをして、シューター陣にパスを送る。大きい選手でアウトサイドにパスをさばける選手は少ないですから」
竹内譲次/PF 15
「このチームのビッグマンの中でも一番のオールラウンダーです。ランニングプレーもできますし、一対一もできる。中国(の大会)でも一番リバウンドを取っているし、大事なところでのショットも決めています。それを期待したい」
竹内公輔/C 10
「ランニングプレーができることと、リバウンド力があることと、スポットショット。ペイントからちょっと離れたところでのショットがうまいので、それを生かしてほしい」
太田敦也/C 8
「体を張ったプレーが一番できる選手です。ただ、ちょっとファウルを取られやすいので、そこを気をつけてアウトサイドのシューターにいいスクリーンを掛けたり、相手のビッグマンに対してコンタクトをして。彼自身がリバウンドを取るというよりは、取らせないようなプレーをしてほしいです」

4人の候補選手が落選し、チームはヨーロッパへ

この段階で日本代表から外れたのは、田中大貴、篠山竜青、金丸晃輔、ファイ・パプ月瑠の4人。

驚くべきはアルバルク東京のエース、田中の落選だろう。長谷川ヘッドコーチの構想では、今回の田中はポイントガード。しかし、すでに田臥、橋本というポイントガードが本職で安定感のある2人がおり、さらには比江島もポイントガードをメインにプレーさせる構想のため、今回は弾き出される形となった。

またシーホース三河の金丸はNBLシーズン終盤に負ったケガが癒えておらず、無理に帯同させてもチームプレーに合わせるのが間に合わないだろうとの判断で、今回はケガを治すことに専念することになった。

日本代表は25日にフランスへ向け出発。現地では練習を重ねつつ、28日のフランス代表戦などテストマッチをいくつか行う。OQTの舞台であるベオグラードに入った後は、セルビアのプロチームとの試合を経て大会に臨む。