再建を軌道に乗せた功労者がチームを去る
3月7日、ネッツのショーン・マークスGMは、ヘッドコーチのケニー・アトキンソンが退任することを発表した。今シーズン残り試合の指揮は、アシスタントコーチのジャック・ボーンが執る。
マークスは会見でアトキンソン退任の理由をはっきりとは明かさなかった。アトキンソンは、2016-17シーズンからネッツを率い、昨シーズンはチームを4年ぶりのプレーオフに導くなど、球団を再建の道筋に乗せた功労者だ。その人物が現場を離れる決断をしたのには、カイリー・アービングとの不仲が関係しているのではと報じられた。
『Yahoo Sports』によれば、アトキンソンとアービングの関係は以前から悪化。アービングはアトキンソンではなく、キャバリアーズ時代の恩師、タロン・ルーの下でプレーすることを希望しているという噂もある。
昨年のオフにアービングとケビン・デュラントという超大物フリーエージェントが加入を決断した背景には、再建という目標に向かう球団内の雰囲気の良さ、そしてアトキンソンの手腕が大きかったと言われていた。
もしアービングとの確執が事実なら、球団は現在のチームの礎を築いた現場の指揮官ではなく、スター選手の気分を害さない方を選択したことになる。
ただ、『Yahoo Sports』によればアトキンソン自身も、アービングとデュラントがいるチームの指揮を執ることを望まず、シーズン終了を待たずして退任を決めたという噂もあるという。何が本当なのかは分からないまでも、今のネッツ内で何らかの不協和音が生じていることだけは確かだ。
アービングは先日「チーム不振の原因は駒不足」と発言し批判されるなど、セルティックスに所属した昨シーズンに続いて、チームリーダーとしての資質に疑問が持たれている。仮に噂通りにルーが来シーズンからヘッドコーチを務めたとしても、これでは先が思いやられてしまう。
ネッツは今シーズン開幕前の時点で、デュラントがアキレス腱断裂から復帰予定の2020-21シーズンの優勝候補に挙げられた。しかし今回のアトキンソン退任により順調と思われたチーム再建は、暗礁に乗り上げてしまうかもしれない。