八村塁

第3クォーター、八村の活躍をきっかけにチームが奮起

ウィザーズとキングスの一戦は、ジェットコースターのように目まぐるしく展開が入れ替わる激戦となったが、最終的にはブラッドリー・ビールが素晴らしいパフォーマンスを見せるもガス欠に陥る展開の再現となりウィザーズが敗れた。

試合開始から1分40秒、出だしの勢いで圧倒されたウィザーズは0-8とリードを許して早々にタイムアウトを取ることに。その後もキングスの勢いは落ちず、アレックス・レンのパワープレーを止められず、そこに人数を掛けるとパスアウトから3ポイントシュートを射抜かれる悪循環でディフェンスが崩壊。こうなるとオフェンスでもリズムが悪く、良いシュートシチュエーションを作れない。

前半を終えて49-76。キングスのフィールドゴール成功率は60%を超え、3ポイントシュートもウィザーズの3本に対して8本成功。さらにリバウンドでも25-15と圧倒し、すべての面で大きく上回っていた。

それでも後半、ウィザーズは猛烈な巻き返しを見せる。第3クォーターの立ち上がり、チームに火をつけたのは八村塁だ。前半は4得点と存在感がなかったが、ビールのスティールに反応してすぐさま攻めに転じてファストブレイクで得点を挙げると、トーマス・ブライアントのパスを受けて相手ローテーションのミスを逃さずフリーで放った3ポイントシュートを沈める。さらにはドライブでゴール下まで侵入し、ポンプフェイクでファウルを誘ってフリースローを2本決めて連続7得点。これで意気消沈していたチームに勢いを与えた。

ここからはエースのブラッドリー・ビールが連続得点と本領発揮。またクリッパーズからトレードでウィザーズに加入し、プレータイムが伸びて結果を残しているジェローム・ロビンソンも思い切りの良いプレーでチームを後押し。キングスは相手のフィジカルなプレーにファウルがコールされないことで集中を欠き、ヘッドコーチのルーク・ウォルトンも判定への抗議で退場処分に。完全にリズムを崩したキングスに対してウィザーズはダービス・ベルターンスの3ポイントシュートも当たり始め、この12分間を46-19と圧倒。95-95と追いついて最終クォーターを迎えた。

しかし、第3クォーターの猛追をフル出場で支えたビールをベンチに下げて休ませる間に、キングスはボグダン・ボグダノビッチを中心に立ち直る。残り8分44秒、ほんの一息入れただけのビールと八村をコートに戻した時には4点ビハインド。だが頼みのビールはキレを失いつつあり、時間が経過するごとにキングスの勢いが目立つようになった。

ビハインドを背負い時間がなくなっていく状況で八村は果敢にアタックを続け、残り33秒で相手からフレグラントファウルを誘うなど奮闘するが、チーム全体が勢いを失っていくのを止めることはできなかった。キングスも終盤にミスが続くバタバタぶりで点差は大きく開かなかったが、結局は126-133で力負けを喫している。

八村は30分の出場で20得点6リバウンド3アシスト2スティール。3ポイントシュート1本を含む6つのフィールドゴールを効率良く決めてビールに続く20得点を挙げ、ディフェンスでも前半に大暴れしたアレックス・レンを後半は抑え込むなど攻守両面での活躍が光った。

今シーズンのルーキーではジャ・モラントとザイオン・ウイリアムソンが突出したインパクトを残しているが、その2人に続く結果を出している。ただ、ウィザーズが勝つにはビールの奮闘だけでは足りないのが現状。八村がただのルーキーであれば今の活躍で十分だが、チーム状況はそれ以上を求めている。他の誰かではなく八村のさらなるステップアップで、チームの苦しい状況を打破してもらいたいところだ。