文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

終盤のトリプルタワーで接戦に幕

栃木ブレックスvs三遠ネオフェニックスの第2戦。先手を取ったのは前日に敗れていた三遠だった。ボールと人が動き、思い切り良く放ったシュートを高確率で決めて先行する。対する栃木はスクリーンがうまくかからずにタフショットがことごとくシュートがリングに弾かれることに。最初の5分間で竹内公輔のフリースローによる2点のみと出だしでつまずいた。

2-14とリードを許した栃木は先発の5人を総入れ替え。山崎稜が3ポイントシュートを決めて遅ればせながら追い上げムードを作り出し、11-18と持ち直して第1クォーターを終え、この流れを維持して33-32と逆転して前半を折り返す。

後半は栃木では喜多川修平が、三遠ではローレンス・ブラックレッジが得点を量産するも、終盤まで点差が離れない一進一退の攻防が続く。

最終クォーター残り4分29秒、60-59と1点リードの場面で三遠は太田敦也、カルティエ・マーティン、ブラックレッジのビッグラインナップを形成し勝負に出た。もっとも、試合後に藤田弘輝ヘッドコーチが明かしたところによれば、このビッグラインナップは「ウイング陣を休めないといけない時間もありますし、ポイントガードも手薄なので実際のところは3ビッグも使わないとローテーションが回せなかった」という苦肉の策だった。

だが、これが接戦に終止符を打つ決め手になるのだから面白い。残り1分13秒でマーティンの3ポイントシュートが決まり67-63と2ポゼッション差にリードを広げる。後がなくなった栃木はライアン・ロシターにボールを託すが、ブラックレッジのブロックショットが炸裂し追い上げを許さない。そして残り23秒、太田がインサイドを攻め手薄になったゴール下で、ブラックレッジがオフェンスリバウンドから得点し69-63としたところで勝負は決した。

田渡「純粋にバスケを楽しめた」

接戦を勝ち切った藤田弘輝ヘッドコーチは「チームが一丸となって戦った結果だと思います。選手たちを誇りに思った試合でした」と語る。

ビッグラインナップが苦しい台所事情から生まれたものであっても、スコット・モリソンではなくここまで出番の少なかったブラックレッジに勝負どころを託したベンチワークは勝因の一つでもある。「ウイングスパンのある彼はディフェンスの貢献度が高かったので、攻守ともにブラックレッジが出ているほうがいいと思った」と藤田ヘッドコーチ。ブラックレッジはその期待に見事応え23得点4ブロックとシーズンハイの出来だった。

ポイントガード陣の故障が相次ぐ三遠にあって、ポイントガードを長い時間務めた田渡修人は12得点10リバウンドと自身初となるダブル・ダブルを達成した。「自分がやりながら周りを生かすというのは(鈴木)達也がいる中でもやりたい形なので、そういうのができて純粋にバスケを楽しめた」と満足気な表情を浮かべた。

「できてなかったら使わないです」

接戦を落とした栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「何回も同じことですけど、出だしで受け身になって、そこを改善しないといけない。やるべきことを全員が一つずつやっていかないといけない」と低調だった立ち上がりの5分間を指摘した。

川崎ブレイブサンダースとの2戦目でもやったことがあるという、5人を総入れ替えした場面については「今日も出だしの悪さを繰り返したので、ちゃんとできていない選手は代える。できていなかったら使わないです」と言い切った。

「代わりに出ていった選手たちが気持ちを持って頑張って、逆転もしました。後から出てきた選手はスタートの5人以上のパワーを出してやってくれたと思います。そこはプラスだった」とベンチメンバーの戦いぶりを評価した。

三遠は純粋なポイントガードが不在という厳しい状況だったが、チーム一丸のバスケットでクロスゲームをモノにした。現在は黒星が先行しているが、接戦での強さは本物。勝率を五分に戻す日もそう遠くはないだろう。

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