アイラの代役では終わらないと強気のプレーで奮闘するリバウンダー、渡辺竜之佑

2017/11/30
Bリーグ&国内
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文・写真=鈴木栄一

不利が予想されたオン「1」の時間帯に大活躍

天皇杯3次ラウンドが11月25日、26日に行われ、年明けに埼玉スーパーアリーナーで開催されるファイナルラウンドに駒を進める8チームが決定した。この3次ラウンドは、ワールドカップ1次予選と開催期間が重なっていることから日本代表が参加できず。中心選手を欠いたことが響いて敗れたチームもあった。しかし、その中で琉球ゴールデンキングスはアイラ・ブラウン、古川孝敏の2選手を欠きながら2試合続けて危なげない勝利を収めた。

今回、琉球にとって特に懸念されたのがアイラ・ブラウンの抜けた穴だった。古川については開幕当初からケガで戦線離脱し、復帰したのが11月に入ってから。そしてプレータイムも多くて約15分と古川不在の戦いには慣れている。一方でブラウンは開幕からフル出場、30分以上のプレーも珍しくない中心的な働きをしてきた。

さらに琉球のチームメンバーを見ると、ブラウン以外にビッグマンと呼べるようなサイズを持った日本人選手がいない。それだけにオン・ザ・コート「1」の時間帯における4番ポジションに不安を抱く見方もあった。それでも、ここまで出番の少なかった渡辺竜之佑の大暴れによって、その不安は全くの杞憂に終わった。

渡辺は25日のバンビシャス奈良戦で約25分出場、6得点7リバウンド4アシストとオールラウンドな活躍。そして26日には、前日にB1の大阪エヴェッサを破って勢いに乗るライジングゼファーフクオカを相手に約25分の出場で9得点7リバウンドをマーク。福岡には帰化選手で200cm101kgのファイ・パプ月瑠がおり、189cm90kgの自分より一回り大きい相手だったが、サイズの不利を感じさせないディフェンスを披露。また、時には相手のエースであるジョシュ・ペッパーズにも対応した。

このプレーぶりに司令塔の岸本隆一は、「渡辺が僕らが思った以上にリバウンドを取ってくれました。今日は1人でジョシュ・ペッパーズについて止めたりと、チームでどうこうよりも渡辺の活躍がすごく大きかったと思います」と称賛。また、佐々宜央ヘッドコーチも「ルーズボールとリバウンド、ディフェンスを頑張る。ボールプッシュも含めて走ってくれる。本当に良かったと思います」と称えた。

アイラ相手の練習で「自信はありました」

オールジャパン8強入りの原動力となった渡辺だが、この3次ラウンドについては「アイラやフルさんがいない時に負けるのは嫌なので、気合が入っていました」といつも以上に強い気持ちで臨んだ。

また、ブラウンの代役を務めたことへのプレッシャーはあったかと聞くと「自分としては出場のチャンスが来るとうれしかったです」と即答。そして、「不安は全くなかったです。普段、アイラと練習で対戦しています。アイラより上手いことはないと思っていたので、自信はありました」と語り、帰化選手のパプを含め、実際にマッチアップした相手を封じている。

むしろ「個人的には1人で頑張って守るつもりでしたが、パプにボールが入るとガードがカバーしてくれる。そこで助けてもらった部分がありました」と、常に自分1人で抑え込めなかったことに不満すら見せる頼もしさだった。

今シーズンの琉球において4番の役割を与えられている渡辺だが、大学時代からプロ1年目の昨シーズンまではガードで起用されてきた。当時から鋭いボール嗅覚による非凡なリバウンド能力を見せていたとはいえ、インサイドを主戦場にしていたわけではない。

リバウンドに入ってチームの流れを変える選手に

高校から大学、大学からプロとカテゴリーが上がるごとに他の選手の全体的なサイズが大きくなっていくことから、それに伴いセンターからフォワード、フォワードからガードとポジションを上げていくのはよくあること。しかし、プロになって、ガードからフォワードとポジジョンを下げることはオン・ザ・コートの制限がない日本人ではかなり珍しい。

だが、「最初は戸惑いもありましたけど、いろいろなポジションができた方が自分にプラスになります。4番をやるのは初めてで、リング下でガード陣がドライブしたのに合わせる動きは今までやったことがなく、良い経験になっています」と新たな挑戦を楽しんでいる。

「今回は自分の仕事ができたと満足しています。ここで自信を得たので、次の試合でもリバウンドを頑張り、強気なプレーで頑張っていきたいです」と言う渡辺。これでブラウンがチームに戻って来るが、これまでと同じくベンチを温める存在に甘んじるつもりはない。「強い気持ちを持ち、アグレッシブなプレーで、リバウンドに入ってチームの流れを変える。流れが悪くなった時、佐々さんに行けと言われる選手になりたいです」と、プレータイム増加への意気込みを語る。

昨年は出場すらできなかったオールジャパンでの8強入り。それと同じくらい、渡辺の台頭というチーム力の底上げができたことは、琉球にとって大きな成果だ。