『コービー・ブライアント・MVPアウォード』はレナード
2月16日にシカゴのユナイテッド・センターで開催された第69回NBAオールスターゲームは、時間無制限で行われた壮絶な第4クォーターを制したチーム・レブロンが、157-155で勝利した。
今回のオールスターゲームは、先月末に事故死したコービー・ブライアントへ敬意を表し、新たなフォーマットを採用。その影響は大きく、NBAを代表する選手たちが真剣モードで全力プレーを見せた。
新たなフォーマットは、以下の通り。
最初の3クォーターは0-0からゲームをスタートし、12分間で勝敗を決する。第4クォーターは『ファイナル・ターゲット・スコア』が設定され、どちらかのチームがその点数に達するまで、時間無制限で争われる。この最終目標得点は、第3クォーターまでの合計得点が多いチームの得点に、コービーが現役最後の10年間着用した背番号と同じ『24』を足した数字に設定された。
新たなフォーマットについては、前日練習後の会見で、チーム・ヤニスを率いたバックスのヤニス・アデトクンボも「試合の強度が増す」と好評で、その言葉通り、そしてコービーの代名詞、『マンバ・メンタリティ』が感じられる熱戦に発展した。
第1クォーターは、チーム・レブロンが53-41で勝利し、第2クォーターはチーム・ヤニスが51-30で制して後半に。第3クォーターから徐々に選手たちの表情も変わり始め、チーム・ヤニスが133-124でリードする形で第4クォーターを迎えたため、157点がファイナル・ターゲット・スコアに設定された。
勝負を決める最終ピリオドになると、両チームともにスターターを戻しての真剣勝負がスタートした。これまでのオールスターゲームでは見られなかった激しいディフェンスにより、フリースロー以外は点が入らない時間帯も見られ、終盤には審判の判定を巡って両チームがチャレンジを行使するなど、お祭りムードいっぱいになると見られていた戦前の予想を大きく覆す展開になった。
ビハインドを背負って第4クォーターを迎えたチーム・レブロンだったが、徐々に点差を縮め、ジェームズ・ハーデンの3ポイントシュートで146-146の同点に追いつくと、レブロン・ジェームズからのアシストを受けたアンソニー・デイビスのアリウープで152-150と逆転。チーム・ヤニスも一歩も引かずに同点に追いつくも、先に王手をかけたのはチーム・レブロンだった。
ハーデンのフリースロー成功により154-152とし、ファイナル・ターゲット・スコアまであと3点に迫ると、選手たちのディフェンスの意識がいっそう強まり、プレーオフさながらのハードワークが見られた。
レブロンのダンクでチーム・レブロンが156-153とリーチをかけ、チーム・ヤニスもジョエル・エンビードのフリースロー成功で155-156に迫ると、チーム・ヤニスのカイル・ラウリーがデイビスに痛恨のファウル。
シカゴ出身のデイビスは、1本目のフリースローを外してしまったものの、2本目を冷静に沈めて試合終了。157-155でチーム・レブロンが勝利を収めた。
"Thank you. This one's for him." ??
Kawhi Leonard thanks the late Kobe Bryant upon winning the first-ever Kia NBA All-Star Game Kobe Bryant MVP Award. pic.twitter.com/o8YS1jLRy9
— NBA (@NBA) February 17, 2020
今年からコービーの名前が冠された大会MVP、『コービー・ブライアントMVPアウォード』には、14本中8本の3ポイントシュートを含むゲームハイの30得点を記録したカワイ・レナードが選出された。第1回目の『コービー・ブライアント・MVPアウォード』を手渡されたレナードは「言葉にならないくらいうれしい」とコメントし、「コービーに感謝している。この賞を彼に捧げたい」と続けた。
新たなフォーマットが発表された直後は、大きな変化が見られないと思われたものの、この変更により例年のムードは一変され、大成功の試みになった。オールスターゲームでの真剣勝負は、選手のケガのリスクに繋がる危険性もあるが、ファンの盛り上がり、選手たちの充実した表情を見る限り、来年以降も継続するかどうかが検討されるだろう。
シカゴでのオールスターゲームは、NBA史に残る大会として、ファン、選手の記憶に残るはずだ。