トム・ホーバス

ベルギー相手に大量失点「規律が足りなかった」

バスケットボール女子日本代表は、現地8日に行われた東京オリンピック予選(OQT)のベルギー戦に84-92で敗れ、2019年以降の公式戦では初の黒星を喫した。

この試合、日本代表は第1クォーターに22-13と見事なスタートを切ったが、その後はベルギーのオフェンスを止められず。2019年以降の公式戦ではこの試合の前まですべて69以下だった失点が92と、痛恨の大量失点を喫した。

指揮官のトム・ホーバスも、敗因はディフェンスにあると振り返る。「ウチのバスケはディフェンスからだけど、規律が足りなかった。第2クォーターから相手にアジャストされてしまった。最初のアタックを止めても、2度目、3度目への対応がダメでした。ノーマークのシュートを決められ、相手をリズムに乗せてしまった。ベルギーは一昨日の試合で全く入らなかったが、今日はタフショットをたくさん決めてきた」

また、この試合で23得点5アシストと止められなかったベルギーの大黒柱、2019年WNBAファイナルMVPのエマ・メッセマンについて、得点を許したこと以上に攻撃の起点として機能させてしまったことが響いたと振り返る。

「エマはもちろん得点能力の高い選手だけど、ベルギーは彼女をパサーとして上手く使いました。彼女の素晴らしいカッティングからイージーショットを作り出されてしまった」

守備では反省ばかりの一戦となったが、攻撃においては見せ場を作っている。第4クォーターに町田瑠唯を投入し、本橋菜子との2ガード起用とし、シューターの林咲希を入れるとともに先発のシューティングガードである赤穂ひまわりを4番に起用。そして渡嘉敷来夢というスモールラインナップで、素早いトランジションからの林の3ポイントシュート爆発によって猛追を見せた。高速バスケに長距離砲という日本の真骨頂とも呼ぶべきバスケットで、第3クォーター終了時点に15点のビハインドから1点差にまで詰め寄った。

トム・ホーバス

「これも僕たちへのオリンピックへ向けた道のりの一部」

ホーバスも、オフェンス面では自分たちのスタイルにあらためて自信を見せる。試合後の記者会見においても、日本のスタイルを新たなゴールドスタンダード(新機軸)にしていきたいと力強く語る。

「男子と違って女子の場合、WNBAや欧州もまだセンター中心のバスケットボールをやっているところが多いと感じる。ただ、日本では大きなセンターを中心にしたバスケットボールでは世界相手に戦えない。私たちはスピード、遂行力、クイックローテーション、ボールムーブメントを重視して戦う」

「2人がペネトレイトで仕掛けて、5人全員が外からシュートを打つことができる。このスタイルには大きな可能性があるし、お客さんも見ていて面白いと思う。今の日本のオフェンスを世界のゴールドスタンダードにしていきたい」

大量失点を喫して敗れた試合後でも、パワーとサイズがなくても世界で勝てることを証明したいというホーバスの決意は揺らがない。そこにはこの戦い方をゴールドスタンダードにしたいと望みつつ、「日本のスタイルを実行するのは難しい。就任してから3年、まだ新たな要素を加え続けている」と、他国が簡単に取り入れて機能するものではないとの自信がある。

「悔しいですが、負けたことで良い勉強ができる。これも僕たちのオリンピックへ向けた道のりの一部」

最後にこう締めくくった指揮官だが、今日深夜のカナダ戦ではこの敗戦から得た教訓をしっかり生かした戦いを見せてくれることに期待したい。