文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

猛追されるも前半のリードを守り切った北海道

アルバルク東京vsレバンガ北海道の金曜ナイトゲーム。ノーマークを作らせず最後までタフショットを打たせ続けた堅守、そして連動したチームオフェンスが噛み合った北海道が81-76でA東京を撃破した。

前半から北海道のディフェンスの質が目立つ。高い位置からのプレッシャーディフェンスと素早いローテーションによりタフショットを誘発した北海道が主導権を握った。

18-16とリードして迎えた第2クォーター、北海道の新外国籍コンビが攻守に存在感を見せつける。マーク・トラソリーニがシュートレンジの広さを見せつけ、中外バランス良く11得点を稼ぎ出し、グレゴリー・ウィッティントンが要所でのオフェンスリバウンドやブロックショットでチームを勢いづけた。

約4分間で12-0と走った北海道が残り1分38秒の時点で39-24と15点のリードを奪った。それでもA東京は馬場雄大がオフェンスリバウンドをそのまま押し込むバスケット・カウントを2連続で記録。ルーキーの活躍でどうにか踏みとどまり、点差を詰めて前半を終えた。

後半に入り拮抗した展開が続いたが、桜井良太のブザービーターとなる3ポイントシュートで北海道が64-51とリードを広げて最終クォーターへ。ところが前半に膝を痛めたウィッティントンがプレーできないという緊急事態に陥り、攻め手を欠いて徐々にリズムを失う。残り6分を切って馬場に速攻から2連続でダンクを決められ65-70、勢いは完全にA東京にあった。

「自分の判断を正しくしてくれたのは選手たち」

普通であればここでタイムアウトを要求し流れを止める場面だが、北海道の水野宏太ヘッドコーチはグッとこらえ、オフィシャルタイムアウトを待った。この判断が結果的に功を奏す。オフィシャルタイムアウト後、デザインされたオフェンスでトラソリーニが落ち着いて決めたミドルシュートでリズムを取り戻す。

残り1分3秒、小島元基にドライビングレイアップを許し3点差とされるが、直後のオフェンスで桜井がファウルを誘発しフリースローを2本決め返す。そして直後のポゼッションを守り切り、残したタイムアウトを有効に使った北海道がファウルゲームを乗り切り、81-76で逃げ切った。

水野コーチはディフェンスもさることながら、「ボールと人がしっかり連動して流動性を持ったバスケットボールが自分たちの良さだと思っている」とA東京相手に81点を奪ったオフェンスを評価した。1on1ではなくオフ・ザ・ボールの運動量で効果的なオフェンスを展開。最終クォーターのバックドアプレーがそれを象徴していた。

また最終クォーター、馬場の連続ダンクで猛追された時の心境を問われてこう語る。「正直、タイムアウトを取ろうかずっと迷ってました。追い上げられて向こうがファウルを仕掛けてきた時に逃げるための方法と、タイムアウトを残しておくという利点を考えた時に、選手を信じて我慢しようと決めた」

「あそこを我慢して我慢して最後2つタイムアウトを残して、ディフェンスでは関野(剛平)を入れてオフェンスでは折茂(武彦)を入れて強弱をつけて、ファウルをもらいにいくことができたり、意識をそちらに集中させることができた」と采配が的中。それでも「自分の判断を正しくしてくれたのは選手たちなので」と選手たちを称えた。

前半のビハインドを返せずホームで痛い1敗

敗れたA東京のヘッドコーチ、ルカ・パヴィチェヴィッチは「北海道はまずフィジカルでアグレッシブにプレーするチームです」と前置きし、「出だしで相手の気持ちが上回って、相手のアグレッシブなプレッシャーに対抗できなかった。特に前半が敗因だと思います」と最大で15点のリードを許した前半の出来が勝敗を分けたと語った。

「同点、逆転できなかった一つの理由はディフェンスでストップできなかった部分です。折茂選手に簡単なレイアップ、フリースローも与えてしまったのでそこで乗り切れなかったと思っています」とあと一歩届かなかった要因としてディフェンスを理由に挙げた。

A東京では田中大貴が不在だったとはいえ、北海道も得点源のウィッティントンを欠きながら攻守ともに高いパフォーマンスで東地区首位チームを破った。オフェンスのテコ入れにより得点力が戻ったチームの実力を証明した一戦となった。

ゲームハイの28得点を記録したマーク・トラソリーニは言う。「今日はチームでつかみ取った勝利、非常に大きな1勝と思っています。今日の勝利に満足することなく、今日のようなパフォーマンスをまた明日見せることができるようにプレーし、それができれば、また勝利という結果につながると思うので、引き続き頑張りたい」

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