文・写真=鈴木栄一

勝負を分けた第3クォーターのパフォーマンス

11月5日、三遠ネオフェニックスが敵地で横浜ビー・コルセアーズと激突。第3クォーターに大きく突き放して76-70と勝利し、前日に敗れた雪辱を果たした。

ともにオン・ザ・コート「2」で臨んだ第1クォーター、三遠はカルティエ・マーティン、スコット・モリソンの外国籍コンビが序盤から得点を重ね、いきなり15-2と大量リードを奪う。一方、横浜は外国籍選手が2人の状況にもかかわらず、ハシーム・サビート・マンカが第1クォーターで個人ファウル3つと苦しい状況に。だが、ここから満田丈太郎、佐藤託矢と日本人ベンチメンバーの奮闘が盛り返し、三遠の20-15でこのクォーターを終える。互角の展開の第2クォーターを経て、三遠の4点リードで前半を終えた。

試合は第3クォーターに大きく動く。三遠は残り8分30秒、田渡修人が3ポイントシュートを決めると、速攻からモリソンがダンク。さらに太田敦也の連続得点などによって、約2分間で連続9得点でリードを2桁に広げる。勢いに乗る三遠はさらに川嶋勇人のレイアップなどで得点を重ね、このクォーターで28-14と横浜を圧倒。リードを18点にまで広げることに成功した。

第4クォーター、横浜も意地を見せ、ファウルトラブルで第2、第3クォーターとベンチに下がっていたサビートがこのクォーターだけで8得点6リバウンド2ブロックと奮闘。さらに満田もこの10分間で10得点を挙げて追い上げるが、三遠は大量リードを生かし余裕を持って逃げ切った。

『ボールと人が連動したバスケット』が機能

三遠の藤田弘輝ヘッドコーチは、「昨日は自分たちのバスケットボールを全くさせてもらえず悔しい試合でした。今日は、自分たちのバスケットができた時間帯が昨日より多かった分、勝てたと思います」とコメント。

この『自分たちのバスケット』とは、12得点を挙げた田渡修人が、「しっかりディフェンスに集中し、リバウンドを取って素早い攻守の切り替えから速攻を仕掛けること。そしてハーフコートオフェンスでは、ボールと人が連動したバスケットボールで、それができればどのチームとも戦えます」と語るものだ。

65-69で敗れた昨日の試合、三遠は第3クォーターで13-19と劣勢になったことが痛かったが、今日は逆に第3クォーターの出来が勝因になった。前日との違いについて、指揮官は「昨日は第3クォーターにファウルが多くなってゲームの流れが重くなり、相手のペースになってしまいました。今日はエナジーレベルを強調しないといけないことを、選手たちが一番分かっていて、それをコートで表現してくれました」と振り返る。

サビート、痛恨のファウルトラブル

敗れた横浜の古田悟ヘッドコーチは、第3クォーターの急ブレーキについて「まずは1対1で簡単に抜かれてしまった選手が何人かいて、そこから崩れてしまいました。チームで守る前に、まず個人があります」と守備の乱れを指摘。そして「コートにいるだけで脅威。常に相手に、ブロックをされるというイメージを与えてくれる」と『ゴール下の守護神』として信頼を置くサビートが、痛恨のファウルトラブルで15分30秒のプレータイムに留まったのはあまりに痛かった。

ただこの試合、スタッツを見るとリバウンドは三遠より10本少なかったが、アシストは27、スティールは10、ターンオーバーはわずか7など内容は決して悪くない。そしてジェイソン・ウォッシュバーンの長期離脱を受けての外国籍選手2人体制の状況も、「新しい選手も来ていますので、間に合えば来週から出ます。インサイドの選手で、ポストアップも含めて技術的に良い選手と思っています」新メンバーの目処は立っている。

このように連勝は逃したが、プレー内容、そしてメンバーも揃ってきつつある横浜。チーム状況は確実に良くなっているだけに、再びホームゲームとなる次週の富山グラウジーズで浮上の弾みとなる結果を残したい。