緊急事態に結束した栃木ブレックス、田臥勇太は「誰かがいなくてもみんながカバーできるのが強いチーム」と今後に自信

2017/11/06
Bリーグ&国内
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文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「課題は明確、またみんなで作っていきたい」

栃木ブレックスは昨日、復活を予感させる全員バスケで千葉ジェッツとの接戦をモノにした。大黒柱ライアン・ロシターの負傷離脱という緊急事態にチームが一つになった。

田臥勇太は会心の勝利にも落ち着いた面持ちで次の試合を見据えた。「チーム全員で自分たちがどういうバスケを目指していくのか、どういうチームなのかというのをしっかりと練習中から意識してやっていくことがまた必要になってきます。昨日は勝ちきれず、今日はなんとか集中力を切らさずに勝ちきれたという意味で、課題は明確なので、またみんなで作っていきたい」

体調不良でチームを離れた長谷川健志ヘッドコーチに代わり指揮を執る安齋竜三コーチは「プライドを持って、しっかり戦えというのを選手に伝えました。それを選手全員が一人ひとり同じ方向を向いて、本当に苦しい時間帯もありましたが、それをやり通したことが勝ちにつながったと思います」とメンタル面での勝利を強調した。

田臥にとって安齋コーチは旧知の仲。「ずっと10年間やってきていますから難しいことではないです」と表現する安齋コーチの求めるバスケを、田臥はこう説明する。「気持ちを込めてルーズボールは負けない。リバウンドには全員で行く。ディフェンスは激しく40分間やる。疲れたら交代する。彼はそういうマインドです」

「一人ひとりが仕事を明確にしてやっていけたら」

シンプルなことこそ難しい。だが選手たちはコート上でそれを体現してみせた。安齋コーチが「苦しい時間帯」と称したように、第3クォーターに逆転され追いかける展開となった。だがその劣勢を覆すきっかけとなったのは田臥の言葉だった。

「1つのミスをしても次カバーしよう。シュートを入れられても、もう1回ディフェンスで止めよう、ということを本当に言い続けましたね。試合はまだ3クォーターだし、4クォーターもあるので下を向かず、とにかくオフェンスで返すんじゃなくて、ディフェンスで返そうというのはずっと言い続けて、みんなでやっていました」

何よりも大黒柱のロシターがいない状況での勝利は大きな意味を持つ。昨シーズンのリバウンド王であり、今シーズンも現在まで平均12.1リバウンドを記録している『ゴール下の支配者』の不在にもかかわらず、栃木はリバウンド数で千葉を上回りイニシアチブを取った。特に竹内公輔、アンドリュー・ネイミックの両ビッグマンの活躍は目覚ましいものだった。田臥も名指しで2人を称えた。「(ネイミックは)ライアンがいない中、ほんとに仕事をやってくれてゴール下を守ってくれた。公輔もあれだけリバウンドを取ってくれて、身体を張ってくれた」

足りないピースをそれぞれが補い合うチーム、昨日のような形が田臥の理想だ。「誰かがいなくてもみんながカバーできるチームというのが、やっぱり強いチームだと思いますので、一人ひとりが仕事を明確にしてやっていけたらと思います」

「思い切りの良いシュートはディフェンスの激しさから」

ここまで調子が上がらなかった栃木は重度の得点力不足に陥っていた。だが昨日の試合では5人が2桁得点を記録するなど、個に依存しないバランスの良さが目立った。田臥も5試合ぶりに2桁得点を記録。だが本人は「今聞いて、僕も2桁取っていたんだというくらいなので」と、自分が何点取るかの意識はほとんどない。

得点力不足の要因について安齋コーチは「まずディフェンスの崩壊というのがありました」と言う。田臥も同じ見解で、「ディフェンスが上手くいけばオフェンスにつながるというふうに自然にやっていたので」と語る。

「それがCB(セドリック・ボーズマン)にしろ、(喜多川)修平にしろ、思い切りの良いシュートにつながった。それはディフェンスの激しさから来ていると思います。その中でどれだけ流れ良くオフェンスを作っていけるかはもちろん課題ですけど、それよりもとにかくディフェンスですね」

なかなか勝ち星が伸びない苦しい状況から、チームの本来のスタイルである堅守を取り戻して強豪の千葉を破った栃木。4勝9敗とまだ黒星が先行しているが、これから栃木が立ち直ったとしたら、昨日の1勝はターニングポイントとして後から振り返られることになるだろう。田臥の言葉からもそれは感じられた。